(『人間革命』第10巻より編集)
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〈跳躍〉 26
「日蓮大聖人の、この大確信は、今日の確信でなければなりません。
この確信に立って、信・行・学に励み、”自分は、なんと幸福者であろうか”と、心の底から言い切れる、堺支部の一人ひとりになっていただきたい。
今、私たちは、未曽有の戦いを眼前にしています。
大聖人のおっしゃるままに、師子王の心を取りいだして、前進また前進の五月を戦い抜こうではありませんか」
一連の、全体指導を目的とする大きな会合が続くなかにあって、各地区、各班の座談会は、大阪の全域にわたって、夜ごとに各地で開かれていた。
地区講義の夜も、講義が終わると、それがそのまま、いつか座談会となり、参加した友人との対話が始まるのであった。
五月に入ると、山本伸一は、昼は活動の拠点となっている会員宅を次々と回り、夜は各所の座談会に顔を出した。
まるで神出鬼没といったように、瞬時を惜しんでの激闘が始まったのである。
このころのある夜、彼は、大阪駅近くの座談会に姿を見せた。
「こんばんは、ご苦労さん。今夜は質問会を開くことにしましょう。賛成ですか」
部屋は、約百四、五十人の人であふれ、彼の穏やかな言葉に、人びとは一斉に拍手した。
「では、まず、このなかで、まだ信心をなさっていない方は、手をあげてください」
三十人前後の手があがった。そして、何ゆえに他の宗教を誤りとするのかという質問が出た。
彼は、人びとの胸の奥にある疑問を、いかにして解こうかということを念頭に置きながら、御本尊の正しいゆえんと、その功力を、明快に訴えた。