(『人間革命』第5巻より編集)
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〈布石〉 8
総会は、支部旗、青年部旗の授与式に移っていく。学会にとって、初めての支部旗、部隊旗である。
まず、八女、大阪の両支部を除く十三人の支部長に、それぞれ支部旗が、戸田から手渡されていく。
戸田は、支部長たちに言った。
「しっかり、支部旗を守るように!」
また、ある支部長には、力強く語りかけた。
「広宣流布の先駆を頼む!」
厳粛な一瞬である。
場内の空気は、にわかに高潮していく。本部旗を中心に、二十三本の鮮やかな旗が、檀上にずらりと並んだのである。
かっての総会には見られない光景である。この景観は、そのまま、勢ぞろいした学会の姿ともいうべきものであった。
戸田は、聴衆に呼びかけた。
「ただ今、各支部の旗、男子、女子の青年部旗が、ここに立てられたのであります。
四月二十七日、二十八日には、この旗のもとに集まり、登山しようではありませんか。そして、この旗のもとに、大折伏をいたそうではありませんか」
この春季総会は、冒頭から折伏の旋風が舞い上がった観があった。皆、自己の今世の使命に、決意するところがあったのであろう。
午前の最期は、戸田の講演である。
長身の戸田が壇上に立ち、秀でた額が輝いていた。
彼は、「開目抄」の文証を引いて、日蓮大聖人の仰せのままに、末法において折伏することが、いかに困難であるか、
また、いかなる困難をも顧みず、折伏を行ずることが、いかに仏意に適うことかを説いた。