(『人間革命』第2巻より編集)
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〈光と影〉 4
「君は、まだ気がついていないが、君の前途は、実に明るいのだよ。それは間違いない。ただ、それには新しい思想、新しい信仰で、人生を生き切っていくことだ。
その当体である御本尊を、抱きしめるか否かによって、決まってしまう。
自由と思いながら、狭い、暗い鉄管の中を歩むか、それとも大宇宙の法則に合致した、明るい自由な人生行路を、自信と希望をいだいて乱舞していくかー それによって、君の長い未来図は、決定されてしまう。それは、どうしようもない」
「あなたのおっしゃることは、おそらく正しいと思います。しかし、今の私は頭が混乱してしまった。あとで整理して、よく考えたいと思います」
「君は考えるのが好きなようだから、よく思索したまえ。ただし、一世一代のつもりで考えなさいよ」
座にいる人びとはどっと明るく笑った。
真面目に聞くようになった青年を、温かく祝福するような笑顔であった。
「考えます。そして、必ず結論を出して、伺います。これだけは、あなたの誠意に応えるために、お約束します。ありがとうございました」