制作年:1941年
制作国:アメリカ
そもそもケーンさんに興味がなかったんですよね。
☆あらすじ☆
新聞社を設立し、「新聞王」と呼ばれた大富豪の実業家、ケーンは、死の間際「バラのつぼみ」との言葉を残した。ケーンの半生を記事にするため、編集者のトンプソンはケーンに縁のあった人々に取材し、「バラのつぼみ」の意味を探ろうとする。
お勧め ★☆☆☆☆
1941年当時のアメリカでどれほど素晴らしい作品だったとしても、今見て面白くないならそれはそれ。こんな退屈な映画に2時間使うなんてもったいないと思うので、お勧めはしません。
そもそもこの作品が絶賛されているのは、当時としては斬新だった撮影技術や表現によるものが大きかったそうで、歴史的に価値のある映画であればいい映画とか、面白い映画であることにはならないわけで。シナリオもケーンの半生もそんなに面白くない、という事実は変わらないと思います。
映画史などを研究している専門家や映画通を自負しているマニアでもなければ、特に見るべき映画ではなさそうでした。
以下、ネタバレを含みます。
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この映画がなければ一生知ることもなかったであろう新聞王、ケーンの生き様にも、人柄にも興味がもてませんでした。むしろケーンから滲み出るパワハラ・モラハラ気質が不快で、現代だったら何かしらの「Me too」運動されてそうな人物に思えました。2番目の奥さんが、ケーンに「欲しくもないものを勝手に与えておいて、お返しがないと切れる人(意訳)」と訴えていたシーンが印象的でした。いますよね、そういう人。
親切と親切ごかしはまったく違うものなのに、そういう人ほど自分を親切で善良な人物だと信じて疑わず、こんな好人物である自分にみんな好意を持つべき、っていう考え方の人。そういう人は期待通りに好いてもらえなかったり、褒めてもらえなかった時に豹変し、攻撃へ転じたりするので実に質が悪いです。ケーンはそのような類の人物に見えました。
物語の核を担う「バラのつぼみ」ですが、これが何を意味するのかは最後まで明示されませんでした。ラストにケーンの雪ぞりが燃やされるシーンがあり、雪ぞりの裏に「バラのつぼみ」と書かれていたのですが、さすがにこれではないでしょう。子供の頃に一時期使っていただけの雪ぞりにプリントされていた文言を、今際の際につぶやいた、という設定にはちょっと無理があると思います。この映画の脚本家が、何か謎の言葉を軸にケーンの半生を描きたかっただけで、それっぽい「バラのつぼみ」という単語をセレクトして、落としきれなかっただけと思えました。子供用の雪ぞりの裏に書かれた言葉ということで、走馬灯でも見て、子供の頃雪ぞりで遊んだ記憶の断片をつぶやいた可能性はあるかもしれませんが。
「バラのつぼみ」はほとんど何の意味もない寝言のようなものだったとも思えるし、死の寸前に思い出せたのは幼少期の思い出だけで、なんだかんだで新聞王としてのケーンの半生は空虚なものだった、とも解釈できそうではありますかね。
どうあれ、ゴールデンウィークのお供にはお勧めしない作品でした。