製作年:2013年
製作国:日本
女優陣の体当たり演技がすごすぎる問題作。
R-18指定作品です。
☆あらすじ☆
17歳の時に隣人の男に監禁され、一か月もの間暴行を受け続けていた過去を持つ奈緒子。彼女を地獄の苦しみから救ってくれた女医に憧れ、自らも医師となった奈緒子だったが、犯罪被害による心の傷から、夜はSMプレイのM嬢として働く別の顔を持つようになっていた。
お勧め ★★★☆☆
かなり痛々しい内容なので、積極的に見るべき映画という気はしません。
が、全裸で被虐される役を演じきった檀蜜さん、間宮夕貴さん、屋敷紘子さんの役者魂が見事。虐待する側を演じた男優さんたちも、彼女たちとは違う意味で過酷な演技を強いられていたのではないでしょうか。
犯罪行為そのものよりも、それによって負った心の傷を見つめ、答えを出そうともがいている奈緒子の心理状態に重きを置いた作品だと思います。
以下、ネタバレを含みます。
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やっとの思いで監禁犯の元を逃げ出し、家族の元へ帰ってきた奈緒子を見た母親の第一声、「誰?」が衝撃的で、悲しい場面でした。
監禁されている間、お母さんのところへ帰りたい、お母さんに会いたい・・・と、優しい母が待っていることを支えに耐えていたのに、あまりにも非情な「誰?」。
こんな母の描き方ってあるかなぁ、とも思ったのですが、母としては、最愛の娘の身に起きたことを受け入れられず、自分の心を守る為には娘に距離を置くしかなかったのだろうと思います。娘への愛を減らして心の均衡を保つ。悲しいですね。犯罪被害者は、当事者だけでは済まないということです。
母の代わりに奈緒子を抱きしめ、心と体の傷を癒してくれたのは、奈緒子の治療を担当した女医でした。成長した奈緒子も医師となり、腕のいい不妊治療医として活躍していました。
トラウマを克服して、立派な大人になったかに見えた奈緒子でしたが、犯罪被害の影響からか、夜はM嬢として働く毎日。
奈緒子は監禁、暴行を受けていた時期に感じた、不思議な「甘い味」の正体を突き止めたくて、自ら被虐されるためにM嬢の仕事を選んでいました。しかし、再びあの「甘い味」に巡り合える機会はなく、ただただ暴力的な客たちに虐げられるのみ。
そんなある日、ほんとうに命の危険を感じるほどの客と出会った奈緒子は、身を守るために客を殺してしまいました。
そのとき感じた甘い味。
探し求めていたあの味は、命の危機を脱した安堵感によるものか、あるいは他人の命を奪った事に起因したものか。
後者であれば、奈緒子にも立派な犯罪者素質がありそうですが、彼女をそのようにしたのは間違いなく過去の犯罪被害体験です。加害者と被害者は紙一重とはよく言われますが、被害者が次の被害者を生む負の連鎖もまた悲しい。
客を殺し、止めにはいった仲間を殺し、幻覚の中で自らも刺殺しようとする彼女の手を止めたのは・・・
いろんな解釈が出来そうですが、私は奈緒子を止めたのは奈緒子自身だと思います。
甘い味の正体を理解し、被虐思考を克服し、あの瞬間に奈緒子はほんとうの意味で立ち直れたのではないかと。そういう救いのあるエンディングであれば、という希望ですが。
それにしても、犯罪被害者は二重、三重に苦しみ続けなければならないのですね。贖罪が不可能な犯罪も多数あり、絶対に許されるものではない以上、なによりも犯罪抑止が重要なのですが、これだけ科学が発達してもなんとかならんのですか。犯罪予備軍って顔に書いてあればいいのにね・・・
いろんな解釈が出来そうですが、私は奈緒子を止めたのは奈緒子自身だと思います。
甘い味の正体を理解し、被虐思考を克服し、あの瞬間に奈緒子はほんとうの意味で立ち直れたのではないかと。そういう救いのあるエンディングであれば、という希望ですが。
それにしても、犯罪被害者は二重、三重に苦しみ続けなければならないのですね。贖罪が不可能な犯罪も多数あり、絶対に許されるものではない以上、なによりも犯罪抑止が重要なのですが、これだけ科学が発達してもなんとかならんのですか。犯罪予備軍って顔に書いてあればいいのにね・・・