#48 働く高齢者 ~ 別に俺も好きでやってるわけじゃねえけどさ | 吉岡 暁 WEBエッセイ ③ ラストダンス

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WEBエッセイ、第3回

 

暇だ、暇だと呟いていたら、分担仕事が回って来た。

仕事がないと寂しい気がするが、来たら来たで面倒くさい。

勝手な話だけど、正直な感想。

 

統計局によると、私の年齢でまだ働いている人は男女合わせて438万人いるそうだ。

438万人 --- 色々なことを考えさせられる数字だ。

こんな歳になっても働かなければ喰えない人、小遣い稼ぎに働いている人、働くのが好きな人、仕事がライフワークの人・・・きっと438万通りの事情があるのだろう。

 

若い時は、70過ぎてまで働くなんて、夢にも思わなかった。そもそも、そんな年まで生き長らえるとは思えなかったからだ。だが、現実は良い意味でも悪い意味でも、しばしば想定を裏切る。現在、私は零細自営業者で、小さな法人を所有し、日々ささやかな仕事をコツコツと仕上げて、昔ながらの顧客に納入している。

(別に俺も、好きでやってるわけじゃねえけどさ)と、以前、何かの拍子である友人に言ったことがある。

(何か新しい、面白そうなこと始めるには、先が短すぎるだろ)

相手が何と応じたかはもう覚えていないが、先が短いというのは辛いことだ。

楽しい夢、面白いプランを描くクリアランスがもうない。希望や情熱があっても、持っていく行き場がない。

 

と、ここまで読んで、(ああ、例のぶつぶつ話か)と思った君。

違うよ。自分に託けて、若い君に言ってるんだよ。

いつまでもクリアランスがあると思ってると、泣くぜ。

 

                          (2024.02.27)

 

 

 

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