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家族の絆を探す、ある女性の小説です



あれは、私が3歳の頃。

覚えているのは、泣きながら母が私の手を握り、夜の街を歩いた事。

お腹が空いていたが、なんだか言ってはいけない気がした。

思えば、あの時に家を出たのだろう。
母の手が私の手をギュッと握る。

お母さんの作るオムレツの味を思いだし、空腹をまぎらわす。…
そんなたわいもない記憶。


両親は私が3歳のとき、離婚した。


…私は、母の本当の姿を知っていたのだろうか。
ただ1人の母親を、正面から見ていたのだろうか。

おばさんは、私に聞かせたい話があるからと、そう言っていた。
母は、自らの歴史を語らない人だった。

子供の頃の私の記憶なんて、曖昧なものである。
恐ろしく巨大な怪獣に見えていた母も、棺の中で小さく眠っていた。

ひっそりと眠る1人の女性だ。

哀しみもなかったが、もう憎しみもない。
怪獣は、私の中で昇華していた。



…おばさんのところへ行ってみようかな。


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シャワーを浴び終えた私は、部屋に戻るとルームウェアに着替え、
ソファにゆっくり腰をおろした。

テーブルの上にある、携帯電話が不在着信を告げている。弟の孝からだった。


つづく

此処で、あなたと出逢えた事、宝物だと思っています。感謝しています。
またどうぞお越しください。