展望塔のラプンツェル | チャウ子のそれでも本を読むのだ

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チャウ子のごった煮風500字読書日記
 地味に更新中f^_^

 

 

 労働者相手の娯楽の街・多摩川市。この地の児童相談所に

 勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の

 前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問している。

 一方、フィリピン人の母親を持つ海は、崩壊した家庭から

 逃げ出してきた那希沙とともに、倉庫街で座り込んでいた

 幼児を拾い、面倒をみることにするが。荒んだ街の子供た

 ちに救いはあるのか?         ー裏表紙よりー

 

 

 架空の市、多摩川市ですが外国人ややくざが多く治安が

悪い一方で、高層マンションも建ち他から移住してきた市

民もいて市が分断されています。

 悠一や志穂が訪ねる家庭は親が暴力を振るったり、ネグ

レクトなどの問題があります。

 しかし親は当然その実態を隠し、子どもは自分たちの苦

しい状況を訴えることができません。

 私がここ数年、ニュースなどで一番堪える事件は親から

子どもへの虐待です。実の親もそうですが、例えば母親の

内縁の夫(子どもから見れば他人)による暴力など。

 ほんとにこういう人間は数十年刑務所に入ってろと思っ

てしまいます。

 今回のこの作品も読んでいて非常に苦しいところがあり

ました。

 海には父はなくフィリピン人の母がいますが生活力はあ

りません。

 那希沙は兄から性暴力を受けています。海はなんとか那

希沙を救おうとしますが、それもなかなか厳しい。

 那希沙は兄や親にひどい目に遭っていても家族のためと

いう言葉を口にします。

 私にはこのあたりがよくわかりません。私が那希沙の立

場ならとっくに家族など捨てると思います。

 児相の人間の言葉にもそれでも子どもは家族と一緒に暮

らしたいものだというのがあって、それも私には理解しが

たいです。

 まあ、子どもは家族しか知らないのだからといえばそう

ですが、そうであればより親の責任は重いと思います。

 海と那希沙は明らかにネグレクトされている男の子と出

会います。那希沙が「ハレ」と名付け可愛いがるのですが、

このハレが最後に何者かわかりハッとなりました。

 こうきたか‥。まさかの展開。苦しい話だったけど少し

希望が持てました。★★★