天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の
石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。
彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため
完全犯罪を企てる。だか皮肉にも、石神のかつての親友である
物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。
ー裏表紙よりー
再再読です。もうあまりにも有名過ぎる作品なので今更とい
う気がしないでもないですが、やっぱり面白いものは何度読ん
でも面白い。
石神の靖子への愛情はなんて言ったらよいのやら。想いを遂
げたいというのでもないし何やら複雑。芸能人に恋する気持ち
のようなものかなと思ったりもしましたが、それもちと違う。
それにしても今回読んで思ったのは靖子って相当悪な女。ま
あ魔性の女なんでしょうね。こんな女からしたら石神なんてち
ょろいもんなんでしょうね。
今回は靖子に対してのアレルギーがひどかった、私は。娘の
美里も巻き込まれ可哀想に思ってしまう。靖子に対して反感を
感じるのは結局男に守ってもらわないと生きられないような生
き方をしているから。
石神に盾になってもらいながら、工藤という男に気持ちがい
っているというのが私にしてはなんだかもうという感じでした。
ただ最後になんとか靖子が良心を取り戻してくれたようでそ
こはホッとしました。
けど、私は石神に言いたい。あんな靖子のような女の犠牲に
なることはないと。自己満足の純愛でしかないよと。
こんなこと言ったらこの本のファンに怒られるかもしれない
けど私は純愛とは思いたくないなあ。
靖子のせいでせっかくの数学の研究も不意にしてしまった。
石神の失ったものは大きいと思う。
もちろんストーリーは好きですよ、はい。★★★