縁 | チャウ子のそれでも本を読むのだ

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チャウ子のごった煮風500字読書日記
 地味に更新中f^_^

 

 

連作短編集です。

1編目の「霧」は少年サッカーのコーチをしている室谷が主人公。

シングルマザーの息子を贔屓しているという噂がたち

コーチを辞めることになります。

実際、室谷はシングルマザーに好意を持っていたのですが、

はっきりと「わたし、そういう気はないので」と言われてしまいます。

別にはっきり告白したわけでもないのに‥と室谷は深く傷つきます。

2編目の「塵」は人材派遣会社に勤める真波が主人公。

真波が恋人の令太と些細なことから揉め事になり

別れ話になるところから始まります。

ここを読んでいて感じの悪い女のだなという感想。

どちらかというと令太の言っていることの方が私には共感できました。

真波は令太に振られたことから大学時代にパパ活していた相手、

田村に連絡を取ります。

3編目は田村が主人公の「針」。

田村には離婚した妻と息子がいます。

息子は25歳にもなってバイト生活。

そして女子高校生と関係を持ったとしてその父親に脅され、

田村が100万円を払う羽目になります。

田村は真波には大人の男として映っていますが、

係長どまりの男。

同窓会で再会した同級生のシングルマザーに息子の就職の

口利きを頼まれます。

田村は真波に愛人になってほしいと言っていたことから

お金が必要なためその同級生に50万円を要求します。

4編目はその口利きを頼んだ友恵が主人公。

家政婦として働いている友恵はなんとか息子の力になりたいと

思っていますが、当然50万円をすぐ用意できるような状況には

ありません。

仕事先の家のお金に手を付けてしまうのですが‥。

このように全編がどこかで結びついている構成になっています。

最後はそれぞれが良心を取り戻すことになるのですが、

特に友恵は引き返すことができてよかったと思いました。

面白くて最後までどんどん読み進むことができました。★★★