柏木聖輔は高校時代に父を亡くし、
大学生で母を亡くします。
東京で大学に通っていた聖輔は大学を中退し、
砂町銀座商店街の惣菜屋でアルバイトとして勤め始めます。
2019年の本屋大賞の2位の作品だそうです。
聖輔は兄弟もいないため、ある意味ほんとに天涯孤独に
なってしまいました。
しかし、この本を読んでつくづく思ったのは
「一人」と「孤独」は全然違うということです。
聖輔は確かに「一人」であるのですが、
孤独ではないと思います。
惣菜屋の店主や同僚はほんとにいい人たちですし、
鳥取時代の高校の同級生の女子に再会できたり、
大学時代のバンド仲間もみんないい人たちです。
いい人ばっかり出てくると物語としてはつまらないものに
なりますが、嫌な奴も当然出てきます。
親戚の基志や高校の同級生の元カレなどは
典型的な嫌な奴です。
親戚の基志は聖輔の苦労を知っているのに、
たかりのようなことをやり、
元カレは完全に上から目線で聖輔を見ています。
人間の善と悪が登場人物から様々に漏れ出てきます。
いろんな「ひと」がいるのがこの世の当たり前。
それを楽しむぐらいでないと世の中渡っていけないのかな。★★★