だから荒野 (文春文庫) 842円 Amazon |
今回ご紹介するのは
「だから荒野」
桐野夏生著
文春文庫です★★★
森村朋美は46歳の誕生日に夫と息子2人と
ディナーに行く予約をしましたが、
次男の優太は来ず、夫と長男の健太と3人のディナー。
しかし、会話はかみ合わず、結局ケンカになり、
朋美はレストランを出て、車でそのまま家族のもとを
去ることに。
夫は朋美に月20万円の生活費を渡すだけ。
自分はゴルフサークルで楽しみ、
子どものことと家事は朋美に任せっきり。
長男の健太は彼女の家に入りびたり、
次男の優太はネトゲに夢中。
朋美自身も料理は苦手で手抜きと
家族はバラバラでそれぞれに不満を抱えています。
いかにもありそうな家族の話ですが、
普通は多少不満を抱えていても
なんとか我慢するのでしょうが、
朋美は爆発して車に乗って元カレの住む長崎まで
ドライブをすることに。
道中、詐欺に遭い、車を乗り逃げされ、その後、
先生と弟子という2人組に車に乗せてもらい、
長崎まで。
朋美はそれまで家族の顔色を窺いながら暮らしてきた
主婦だったのに、詐欺に遭ったり、男から誘惑されたり
したことで段々、逞しい女性になっていく様が
読んでいて面白く、爽快でした。
桐野さんの物語の運びのうまさはさすがだと改めて
感じました。
家族だから自然に成り立つものでもない。
やはりそれぞれの努力が必要なんだということを
思い知ったお話でした。