だから荒野 | チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のごった煮風500字読書日記
 地味に更新中f^_^

 

 

今回ご紹介するのは

「だから荒野」

桐野夏生著

文春文庫です★★★

 

 

森村朋美は46歳の誕生日に夫と息子2人と

ディナーに行く予約をしましたが、

次男の優太は来ず、夫と長男の健太と3人のディナー。

しかし、会話はかみ合わず、結局ケンカになり、

朋美はレストランを出て、車でそのまま家族のもとを

去ることに。

夫は朋美に月20万円の生活費を渡すだけ。

自分はゴルフサークルで楽しみ、

子どものことと家事は朋美に任せっきり。

長男の健太は彼女の家に入りびたり、

次男の優太はネトゲに夢中。

朋美自身も料理は苦手で手抜きと

家族はバラバラでそれぞれに不満を抱えています。

いかにもありそうな家族の話ですが、

普通は多少不満を抱えていても

なんとか我慢するのでしょうが、

朋美は爆発して車に乗って元カレの住む長崎まで

ドライブをすることに。

道中、詐欺に遭い、車を乗り逃げされ、その後、

先生と弟子という2人組に車に乗せてもらい、

長崎まで。

朋美はそれまで家族の顔色を窺いながら暮らしてきた

主婦だったのに、詐欺に遭ったり、男から誘惑されたり

したことで段々、逞しい女性になっていく様が

読んでいて面白く、爽快でした。

桐野さんの物語の運びのうまさはさすがだと改めて

感じました。

家族だから自然に成り立つものでもない。

やはりそれぞれの努力が必要なんだということを

思い知ったお話でした。