桜ほうさら(下) (PHP文芸文庫)/PHP研究所
¥799
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今回ご紹介するのは
「桜ほうさら(下)」
宮部みゆき著
PHP文芸文庫です★★★
下巻の最初は三河屋の娘の拐かし事件から
始まります。
笙之介が娘の母親と300両を持って
舟に乗り込みますが、
結局300両取られたのみで、
娘は戻って来ません。
結局は狂言ということが分かったのですが、
この狂言は親子の感情のもつれが1つの
原因でした。
最後の話は笙之介の父を陥れた黒幕は誰か。
そしてその真相は‥というところに行きます。
ここも笙之介の家族の関係がテーマ。
兄の勝之介がなんだか悪者になってしまっていますが、
私から言わせれば母親の里江こそが元凶だと思いました。
これは自分がここ最近、親との関係に悩んでいることも
あるのかもしれませんが。
里江が夫を尊敬して、息子2人を分け隔てなく
育てていれば今回の悲劇は防げたのではないか?
けど、親だって完全な人間ではない‥、
けど‥と里江に対しては笙之介や笙之介を見守っていた、
里江の親戚筋の坂崎のように私は寛大には
なれませんでした。
息子2人だけが悲劇を背負ってしまったような気がして。
ただ、笙之介は家族以上に人に恵まれている。
それだけが救い。
家族の愛情に恵まれなくても人は優しくなれる。
そう思いたい。