ハッピー・リタイアメント | チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のごった煮風500字読書日記
 地味に更新中f^_^

ハッピー・リタイアメント (幻冬舎文庫)/浅田 次郎

¥630
Amazon.co.jp




今回ご紹介するのは
「ハッピー・リタイアメント」
浅田次郎著
幻冬舎文庫です☆☆☆




財務官僚の樋口と自衛官の大友は50代半ば。
肩たたきにあい、天下り先として紹介されたのは
JAMS(全国中小企業振興会)という組織。
好き放題振舞う元財務官僚の理事の矢島に、
一矢報いようとする矢島の秘書の立花葵。
立花女史と樋口と大友の行く末は?

とにかくJAMSでは仕事はしてはいけません。
この組織は元々、中小企業の融資の保証をする
ところです。建前上はその融資の取立てをしないと
いけませんが、テキトーに電話をかけ相手に
返済する意思がないなら債権放棄の書類を
作成する。ノルマもなにもないという
ユルイ仕事です。
樋口も大友もどちらかと言えば、真面目な公務員。
樋口は財務省を出るときに家族全員がバラバラになり、
大友は1度も結婚もしたことなく、
中高年男性の悲哀が感じられます。
立花葵は矢島の愛人。
矢島がいろんな手を使ってJAMSを存続させて
いるのをずっと見て来ました。
この小説はテーマはとても重いはずなのですが、
コメディタッチ。
私的に面白かったのはJAMSに保証してもらって
借金を踏み倒して逃げた人々の現在の暮らしの
場面ですね。
本当の悪人になれなかった小悪党。
過去の過ちに苛まれて樋口と大友の要求に
応えてしまう善良な小市民。
それに引き換え理事の矢島の汚さ。
サイテーだと思いましたよ。
立花葵の企んだこともどうかと思いますが、
矢島のやってきたことに比べたら可愛いもの。
さて、こういう小説は最後には悪は滅び、
立花と樋口と大友が勝利の雄叫びを
上げるのかと思ったら、そう一筋縄ではいかないようで‥。
そのあたりも含めてさすが浅田次郎さんだわと、
感心致しました。



にほんブログ村 <br />本ブログ 読書日記へ


にほんブログ村
  いつもありがとうございます♪