北大大学院がん予防内科学講座の浅香特任教授は、東京都内で開催された生活習慣病学会学術集会で講演し、胃がんの原因のほとんどが、ヘリコバクター・ピロリ(Hp)菌感染であることから、現在のバリウムを使った胃部エックス線検査といった二次検診の方法を見直すタイミングに来ていると訴えた。
その上で、このままの検診体制を続ければ、「団塊世代が還暦を迎え、胃がん世代に突入した今、胃がん患者数は増加し、医療費増大は取り返しがつかなくなる」と警鐘を鳴らした。

「生活習慣病由来のがん予防は困難な半面、感染症由来のがんはワクチンや抗生剤投与などで予防が十分に可能である」と指摘。感染症由来のがんと言える胃がんの予防は当然ながら、一次予防が優先されなければならないとした。さらに、国の今年度からのがん対策推進基本計画のがん予防の項目に、「Hpについて、除菌の有用性について内外の知見をもとに検討する」と明記されたことを重要視すべきだとした。

現在の胃がん検診の方法を見直す理由として、胃がんによる年間の死亡者数が40年以上にわたり、約5万人と全く変わっていないことを指摘した。
胃がん対策ではHp除菌を軸に、ペプシノゲン(PG)法やHp抗体検査を活用したリスク検診体制に移行すべきだと強調。「Hp陽性の場合は除菌を行い、その後は内視鏡による経過観察を続けることにより、わが国の胃がん死は劇的に減少していくと考えられる。国策による胃がん撲滅プロジェクトを立ち上げる必要がある」とした。