放射線医学総合研究所は、iPS細胞を同一個体内に移植する「自家移植」を行った場合、免疫の拒絶反応を引き起こさないことを確認した。
拒絶反応を考慮せずに自家移植が行えることが、臨床応用への前提条件だったことから、iPS細胞を利用した治療などへの応用が期待できるという。

iPS細胞は拒絶反応が起きず、移植医療に使える「夢の細胞」として注目されている。だが、2011年5月に米国の研究チームが、マウスのiPS細胞を元のマウスに戻すと拒絶反応が起こるとの研究結果を報告したことから、慎重に調べ直す必要性が指摘されていた。

自家移植の拒絶反応の有無を確認するため、遺伝的に均一と考えられる近交系マウスなどを使って実験を行い、iPS細胞移植時の奇形腫瘍形成率や、移植時の免疫反応などを調査。

移植によるマウスの免疫反応を定量的に解析したところ、リンパ球による免疫反応はほとんど誘導されなかった。また骨髄細胞の移植でも、長期間定着していることが確認できたという。

 iPS細胞を自家移植する際、拒絶反応を考慮する必要がないことが示されたことから、研究チームは、「本研究の成果によって、iPS細胞の利用研究が加速することや、治療などへの応用が考えられる」としている。