福祉用具の可能性を考える記念イベントが東京都内で開かれた。「持ち上げない」介助方法を啓発する「日本ノーリフト協会」の保田淳子代表が講演。「介助用リフトを使ってもらうことは、労働環境を変える成功体験になる」と、福祉用具の持つ役割を訴えた。

「ノーリフト」とは、押す、持ち上げる、運ぶ、などの人力のみによる介助を禁止する運動で、豪州で始まった。具体的には、介助用リフトやスタンディングマシーンをより多くの施設や在宅で使ってもらうことで、介助者の腰痛を防ぎ、被介護者の生活範囲を広げるなどケアの質向上を目指す。日本では、豪州-でヘルパーとして働いた経験があり、看護師でもある保田氏が中心となり運動を進めている。

福祉用具専門相談員や、福祉住環境コーディネーターの資格を持つ人が多く集まった会場で、「看護師は用具の説明に来た人の話を聞く時間がなく、結局カタログを見て選んでいる」と経験談を紹介。「福祉用具を、看護師や介護士にまず『遊んで』もらい、どういう利点やリスクがあるか、興味を持ってもらってほしい」と話した。

介助者にとって腰痛は離職の原因になるため、他国では「労災予防」としての対策が進んでいるという。「日本でも、離職を抑えるリスクマネジメントとしての発想が必要」と保田氏。福祉用具の導入には、お金や場所などの課題を挙げる介護現場が多いが、「(腰痛という)課題を解決してこそプロと言えるはず」と述べ、「福祉用具相談員の人には、どんどん現場に入っていき、現場の『困ってること』を聞きだしてほしい」と語った。