かなり時間が空いてしまいました💦
創作活動しておりました😊
「513」ヒライストの聖日な本日、さらに気合い入れ直して邁進します🔥
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『人狼天使1』憑霊都市
『人狼天使』篇の導入は、誰もが意表をつかれるソドムシティでの闘いが描かれましたが、おそらく数万年以上に渡る魔族との闘争において、重要なポイントとなるのがあの時空であり、“ソドムの再現”というだけではなく、様々なエネルギーの坩堝になっているニューヨークに繋がってくる訳ですね。
この章の冒頭は、「夢」を分析しつつ、唯物主義に反証する論文のようになっています。
悪魔、魔族と呼ばれる〈精神寄生体〉が、いかに巧妙に人々の精神に食い込み、エネルギーを簒奪してゆくか。
真実を悟らせないために、“彼ら”は人心をコントロールし、“物質絶対”の思想を誘導する。不可視の世界を否定させ、超越者たる神の存在をも否定する…。
この辺りは、陰謀論界隈で言われてます「3S政策」を想わせますね。
夢世界における天使との邂逅を語り、世界の真の姿を直視することの重要さを語る…。
犬神明のブレない使命感に胸を打たれますが、この辺りはやっぱり、平井和正自身の使命感とも密接にリンクしているように感じます。
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導入部からの本編は、いきなり監獄内でホモの黒人に襲いかかられるという恐怖展開に…
あっさりと巨大で獰猛な黒人を蹴り倒してしまうアニキでしたが、闇エネルギーをたっぷり保ったままに、異次元に存在しているソドムに“憑霊”されている、ニューヨークの様相がはっきりと象徴される一幕でありました。激怒のあまり、眼力だけで看守を座り小便させてしまうアニキ…。
囚われとなった市警で出逢うのが、魂のバディたる ダニー・ルート。
おそらく彼がいなかったら、獄内の暴力行為もお咎めなしのまま、こんなに早期に釈放されることはなかったんでしょう。足がかりはどんどん用意されて行く。
少し時は遡って、矢島絵理子に仕掛けられた暴行事件の冤罪は、数ヶ月に渡って拘留されるも決定的な罪状が明らかになることはなく、絵理子の告訴取り下げによって、不起訴のまま釈放されることになる。
官憲による取り調べはさぞかし厳しいものであったでしょうが、アニキは耐え抜き、生命が脅かされる危険のない拘置所暮らしは、いろいろな意味で転換期を迎えていたアニキにとっては良い禅定の機会でもあったようです。
釈放されたアニキを迎える、郷子さまの暖かさってば😭
今回の再読での一番の収穫は、郷子さまが秘める真実の優しさに気づけたことですね。今までマイ・ヒライスト・アイドルといえば、ダントツで木村市枝さんでしたが、そこに迫る勢いで郷子さまブームきてますかも。
アニキの石神井のマンションと、愛車であるブルーバードSSSは、郷子さまが紹介した代理人によって、高額の買い手が見つかったという件、マンションはともかく、ブルSSSを買い取ったのは、きっと郷子さまだと思います! 掛け替えのない友人が愛している唯一無二の車を、いつでも乗れるように整備保管するくらい、普通にやってらっしゃいそう。
シャバへの帰還祝いと、アメリカへの送別会を兼ねた、二人だけの(最後の?)宴。
ここで交わされる会話は、何気ないように見えて、深い意味が込められている。
「わたしにはとてもあなたのお母さまは務まらないわ」
という郷子さまに対して
「そうか。では七つ歳上のお姉さんでもいい」
ってアニキは返すのですが、“七つ歳上のお姉さん”といえばなんといっても東三千子姉様を連想しますよね。
アダルトウルフ世界の言霊が、このすぐ後に始まる『幻魔大戦』世界の言霊にチェンジする過程にある、そのサインのようにも思えます。
矢島絵理子が、最重要案件であるはずのアニキの事件を放置して、アメリカに渡った真意は、父の矢島にとっても謎のようです。
絵理子さん、アニキに対する姦計のためだけに、悪霊に憑依されたということではなく、どうもかなり深い度合いで憑依され、使役されていることが伺えます。
郷子さま曰く、「舞台がアメリカに移った。ニューヨークに大勢集まってくる」「高次元の霊の世界では、とても大きな出来事が起こることになっている」
そしてそれは「地球全体の運命に大きな変動をもたらすかもしれない……」
思えば、『幻魔大戦』シリーズでも、何度もニューヨークが重要な舞台になってましたね。
霊能や、人狼の特殊能力などの“力”を持つ者の責任に関しての対話は、もう深みすぎる。
能力そのものは、とるに足りない二義的なことでしかない。“力”を自己の利益のために使ったら、心の安らぎはなくなる。そのことが“力”の本質を物語っている。
この辺りは、三千子姉様にだけ内心を吐露していた東丈の姿とも重なりますが、もしかしたら「能力を持つ者特有の苦悩」という以上の共通点が、彼らにはあるのかも知れません。「真の主役が出てくるまでのツナギ」って、東丈も言ってたな。
そして迎える空港での別れ。
シリーズ中、ベストシーンの一つですよね。
印象的なのは、ここに集った誰もが、「アニキはもう日本には戻れない」という予感を抱えているということ。
「お宅は二度とおれの消息を聞くことはないだろう」
というアニキの言葉に、矢島は柄にもなく激昂してしまうのですが、それはその言葉が現実になるという予感があったからなのでしょう。
諜報機関の長ということもあって、なかなか本心を伺わせない矢島でしたが、このシーンで彼が見せた尊敬と親愛の情は、確かに真実なんでしょう。
きっとアニキは矢島に触れるな……って思ってたら、別れ際に軽く肩を叩いて見せたので、ちょっとうれしかったです。ささいなことだけれど、アニキが確かに示した、友情ですね。
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アメリカへのフライト中に出逢うのが、スチュアーデスであるジュディ・ギャザラ。
ユダヤのルーツと、心霊的な才能を持つ女性。
彼女が逢って、言葉も交わしたという天使アルカンフェルは、なんとなく『真幻魔』に登場したクロノスを連想させます。起こるはずだった飛行機事故が、光の存在によって護られ、避けられた…というエピソードも。
アメリカに向かうアニキは、メトセラ・プロジェクトを推進する組織そのものというよりも、その奥に存在する〝宇宙的規模のエネルギー体〟に意識を向けているようです。
最終決戦に向けて、舞台は整ってゆきます。