生賴範義展3『THE LAST ODYSSEY』3 | 平井部

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※ 画像含めてネタバレありです。

 

 

 

 すいません、インフルエンザで寝込んで更新遅れました(^_^;;。

 

 

 

階を下りて、第4展示室は『拾遺集』のコーナー

 

今回の「生賴範義展3」は「1985年から2015年までの仕事に焦点を当てる」ということでしたが、これ以降は「特設コーナー」という形になります。

 

第一回の「生賴展」が開催されて以降、出版社に保管されていた大量の絵画が次第に返却されつつあるようで、この『拾遺集』コーナーでは、そうして近年新たに発見されたもの、今まで展示できなかったもの、などが集められたということです。

 

 

いやいやいやいや……

 

全ヒライスト喜悦!!

 

平井小説の挿画群満載!!

 

全米…は泣いてないけど全湘南住民分くらいは泣くはず!!

 

 

ウルフガイから幻魔大戦の、あれもこれもこれもあれも、何度も見た見た!! あのシーンですやん!!

 

挿画って、一枚の紙をいくつかに区切って、まとめて書いてらっしゃるんですね。

 

フレームなしの生原稿を、間近でじっくり眺められる悦楽。

 

イメージイラスト的な大きいものがダーンとあったり、『幻魔宇宙3』の優里のフルカラーイラストがあったり。

 

た、堪能させていただきました(涙)。

 

 

 

他にも、『昨日のスパイ』のワルサーP38。銃だけが描かれてるのに、この吸引度は何なんでしょう。軍艦にも通じる「機能美」が、最高レベルまで高められてるからでしょうか。

 

『ねじれた奴』の美少年の横顔も凄みレベルの美しさ。

 

 

肖像画はあるわ、少年誌のカラーイラストはあるわ、まとまりはないはずなのに、不思議と流れがあって、生賴範義の多様さと懐の深さをよく象徴するコーナーでした。

 

 

 

 

 

 

そして、最後の第5展示室!

(※こちらは写真撮影OKです)

 

 

きた〜〜〜っ!!!

 

平井和正コーナーッ!!!

 

 

いきなりハヤカワ文庫版『狼の紋章』!! 伝説きたっ!!

この絵も、2015年に早川書房から返却されたうちの一つなんだそうです。

 

ハヤカワのウルフガイシリーズ勢揃い。

 

 

 

 

 

その横は、ををっ、徳間ハードカバー版ウルフガイの表紙画!

 

その下は角川幻魔!

 

 

 

 

 

この壁の対面に、『幻魔宇宙』シリーズのベガ様。何度もお会いしてるので、お久しぶり〜って挨拶してしましました(^_^)。

 

その右横の、青き星と炸裂する星がモチーフになった絵画も凄い…。紛れもなく『幻魔』のイラストなんですよね。

 

 

 

 

申し訳ないすが小松左京コーナーをとばして、先に隣り区画に行きますと、あ、あっ、ハードカバー幻魔の8枚の絵が全部並んでる!!!

 

 

 

 

やばい……

 

壮観すぎて軽く泣きそう……

 

 

す、すいません、ここ夢の国かなにかですか??

 

 

他にも、『真幻魔』のノベルズ、文庫両シリーズのイラストがでーんとまとまってたり、『サイボーグ・ブルース』『死霊狩り』など長編の主立ったところが再展示されていたり……

 

 

すいません、「平井和正コーナー」あるとは聞いてたんですけど、まあ一角に10枚くらい纏まってれば嬉しいかな、くらいに思ってましたら、今までで一番凄いじゃないっすか!!! 企画の皆様男前すぎっ(涙)!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして最後に『未完の油彩群』のコーナーへ。

 

もう鮮烈な色彩のフォースの前に、黙って佇むしかないですね…。

 

大作『破壊される人間』に連なる、未完の作品群。

 

主に、ぐずぐずと組成そのものがクズレオチてゆく、人体がモチーフとなった絵画。

肉や筋肉や内臓までもが融け落ち、それでも意識を喪うことを許されず、永遠の業火にのたうつような“人間”たち。ある者は十字架にかけられ、ある者は後ろ手に縛られ地面にはいつくばる。

 

無惨な、目を背けたくなる光景のはずなのに、不思議にも、本当に不思議なことに、嫌悪感は一切湧いて来ないんです。

 

肉体が崩れてゆく状態のまま、ある物達は獣のように交合し、愛しげに首筋に唇を寄せているようにも、業慾に灼かれて首筋にかぶりついているようにも見える…。欲望に憑かれる彼らは、私ども人類そのものの様に思えます。

 

 

 

 

 

何のしがらみもがない状態で、生賴範義はこれらの絵を描いたのですが、おそらく感情や意図を一切交えない“無私”の状態で、キャンバスに向かっていたのではないでしょうか。

やむにやまれぬ熱情に突き動かされて、人間存在の愚かさ、哀れさを、描きつくす。批判や怒りを超越して、ただただ冷徹に。

 

 

個人的な見解ですが、そこを見据えないことには、人類の“救い”って見えて来ないのではないでしょうか。平井和正が“人間ダメ小説”としてひたすら“無妙の闇”を追求したように。

 

だから、残酷さを軽く超越して、この絵画群はいっそ清々しいんだと思います。

 

 

圧倒的な画業を目の前にして、聖廟で一流の宗教画を拝んでいるかのような、崇高な気持ちにさせられていました。

 

 

 

この右側が、自画像を初めとする家族の肖像。

 

 

 

左側が、画伯が好んで描かれた戦艦の絵と、絶筆となった作品。

 

 

 

まさに、壮大な全3回の『生賴範義展』を締めくくるに相応しい、1コーナーでありました。

 

 

 

続きまっす