そこから、次の西国十七番 六波羅蜜寺までは、交通機関を使うのも中途半端になるので、ゆっくり歩いてゆくことに。東山通りをぶらぶら北上。前々から気になっていた、すごく巨きなくすの木のご神木がある今熊野神社にお参りできたのが良かったです。こちらも落ち着ける素敵な神社でした。

お寺の伝説では「東寺の空海さんが此処で翁姿の熊野権現に出逢った」とありましたが、この神社の由来は、「後白河上皇が熊野の神を勧請された」とありますね。いずれにしても当時いかに熊野信仰が厚かったかよく分かります。
清水への参拝で賑わう五条通りを左に折れ、細い路地をちょっと北に上ったところに六波羅蜜寺はあります。住宅街の中にひっそりと在る小さなお寺。

入り口

本堂
本堂に入ると、い、いきなりいらっしゃいます、秘仏、十一面観音さま。
や、やわらか~。
なんて穏やかで優しい方なんでしょう。3m近いと思われる、かなり大きな方なんですが、威圧感などみじんもなく、ひたすら優しい波動がこちらに伝わってきます。角張ったところが存在せずに、まんまるなで肩から、足下にいたる流れるようなラインが美しいです。
伏し目がちの、まんまるお顔。お奇麗です。ちょっとひねった腰もせくすぃ~。
こちらの観音さまは12年に一度辰年の公開で、今回は8年ぶりとのこと。
素晴らしい観音さまでした。またお逢いしたいなあ。
最後に、同寺の宝物館で見仏。本堂までは自由に拝観できて、宝物館は有料です。こちらには口から仏(念仏)を吐き出す有名な空也上人像や、かの松本明慶さんもよく逢いに行かれたという、運慶作の“夢見地蔵”さま、そして、にっくききやつの像があるんです……。
平清盛像! いやもう、なんでか分からないんですけれど、この清盛を見つめていると、穏やかならぬ感情がふつふつと湧いてくるんですよね。あ、そういえば保育園時代にぼくをいじめたTにも似とおる……。丸刈り頭に嫌みな微笑みを浮かべその顔! 人を見下すその細めた眼に、薄く歪めたタラコ唇が嫌げだぜ!!
存分に怒りを充填して、収蔵庫を出るわし。去り際に再び観音さまを拝んで心を落ち着けてから、お寺を後にしました。
そんなこんなの秋見仏。やっぱり京都は良いですね(^_^)。
帰りはすごくクリアな空が紺と紅に染まる夕焼けを観られて、幸せでした。

十一面観音さま御影

六波羅蜜寺ご朱印