ラジコンを物理学的に考える | ⚡️SHIBATA⚡

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ポール・ディラック



「ディラック方程式」にあるように、「物理法則は数学的に美しくなければならない」とあります。


最高に素晴らしい言葉だと思います。感動的です。


そして彼は、次のようにも述べています。


「誰も知らないことを誰でもわかる言葉で語るのが物理学だ。誰もが知ることを誰にもわからない言葉で語るのが詩だ。」


さて、物理学をラジコンに置き換えてみます。


ラジコンを操作する人間は、感覚的に、「このマシンは強い、よく走る、よく曲がる、縦に強い、横に強い」など、離れた場所を走る、ラジコンを操作しながら、そう感じることができます。


超越した感覚を持ち合わせ、その物体を操作するのに、路面の状態、タイヤの状態、数秒後に起きるアクションを想定して、ハンドル操作を行います。


ラジコンを操る人は、脳みその中で、相当な計算を瞬時に行い、そしてそれを感覚的に指に伝えます。


しかし、同じマシンを乗っても、そのマシンの良い、悪いは、当日の気分やドライバーの技量によっても評価は変わってくるでしょう。(大人のスポンサー事情は別とします(笑))


また、走りのスタイル、どのような動きを表現したいか?によっても、マシンの作り方、操作の仕方、根本的な目指すところも変わってきます。



さて、何点もの部品から構成されるラジコンマシンは、その集合体として、1つの物体となります。


「強いマシン」という定義でマシンを作る場合、それが人間の感覚的ではなく、物理学的に数字で証明できるとおもしろいかな?と思いませんか?


現在、ラジコンを作るときには、3D-CADを使って、パソコン上で組立をして、そして3Dプリンターなどを使い、試作パーツを作り、そして実際に走って感覚的なところで確認をするという作業をしております。


CADデータである以上、どのようにも解析ができますので、ほしい「値」については、基本的には数値化できると思うのですが、このマシンは、このように設計されており、この動きを狙っているというのが、数値的に理論があり、ある種の方程式が成り立てば、すごくおもしろいと思います。


ただし、数値的にすぐれていると言って、強いマシンであるということではありません。なぜなら、そこに人間の「腕」という要素がどうしても加わるからです。


実際に「GRKシリーズ」を感覚的に文字で表現してみます。


初代GRK…スーパーエキスパート向けに大会で勝つためにマシンを作った。というように、万人受けするマシンではなかったですが、ほんの一握りのスーパーエキスパートドライバーには、その戦闘力はたまらないものであり、操ることができれば、ものすごいマシンであった。ただし、ビギナーには、まったく乗りこなせるマシンではなかったので、賛否はあった。


GRK2…だれでも乗れるように設計した。というように、誰でも乗りやすく、操りやすいマシンを作るというコンセプトがあったので、GRK2を使って、多くの大会で、多くの人が勝利できたし、楽しく遊ぶことができたということから、大ヒット商品となりました。


Gパケ…大ヒットしたGRKのメインシャシをそのままで、そのメインシャシにドリパケの機構をそのまま乗せたらどんなマシンになるか?という実験をしたら、むちゃくちゃよく走ったので、これも空前の大ヒット商品となりました。


GRKグローバル…金型をつくり樹脂で量産した初めてのマシンですが、GRK2の価格を1/3にして、戦闘力同じというコンセプトで開発しました。なので、金額が安くても、よく走ると評判がよく、大ヒットしました。アルミとカーボンの集合体ではなく、樹脂とカーボンの組み合わせでも設計次第で、同じ戦闘力が作れるという結果でもありました。


GRKグローバルS…すべて樹脂で、さらなるコストダウンをしました。でも、戦闘力は同じ。なぜなら、樹脂を研究し、カーボン+アルミの削り出しを超える素材を開発したからです。過去に作ったGRKシリーズのすべて良いところを集め、と同時に問題点も解決をさせました。初心者の人が乗れるように、もっとビギナー向けに設計をしました。始めてラジコンをする人がいきなり使いこなせるマシンですが、エキスパートユーザーでも使いやすいマシンに仕上がりました。樹脂ながら、この金額で、このパフォーマンスは合格点ということになったと思います。


GRKRWD Ver.1…実は、このマシンのメインシャシは、初代GRKベースに作られております。「最強は誰だ?」で勝つために開発されておりますので、競技で勝つための要素で構成されておりますので、戦闘力は高いのですが、当然ドライバーを選んでしまいます。ただ、このマシンが、ツボにはまった方には、たまらない1台となったようです。


GRKRWD Ver.2…勝つ為につくったマシンのバージョン1を、もっと乗りやすくするために仕様変更したのが、現在発売されているGRKRWDバージョン2です。このマシンが売れている理由も、その懐の広さにあると思います。


さて、今まで開発した、歴代7車種を振り返ってみましたが、これはすべて「感覚的」な話です。


もしも、このマシンをすべて「数値化」したら、その数値に対して、この感覚的なインプレッションが、理論化できると思いませんか?


なんで、強いのか?

なんで、よく走るのか?

なんで、速いのか?


それを理論と数字でお話できるようになると思います。


また、物理的に解析することができれば、次のマシンを作るとき、その理論を元にマシンを作っていくこともできます。





さらに、そして、うちのマシンには、歴代すべて、ブラックカーボンとシルバーカーボンの2種類が用意されております。なぜか?特性が違うからです。同じ設計で同じマシンなのに、素材で動きが変わるからです。


見た目も変わるけど、特性が変わるから、好みで選べる為に、すべてのマシンが2種類の素材を用意しているのです(^^)本当は、カーボンの厚みも、いろいろ出したいんですけど(テストはしてるからね)ショップが在庫が増えて嫌がるでしょ。


さて、話を戻します。ラジコンマシンを物理的に数値化できれば…


美しい理論値(数字)をもったラジコンマシン


というのを開発したくなると思います(^^)


去年あたりから、ラジコンを作るのに、幾何学的なことや、素材など、物理学的に数学的にラジコンと向き合うようになってきました。


これがまた楽しい。


当然、GRK3以降のマシンは、そういった要素が満載になったマシンがリリースされます。すべてのパーツに理由があり、理論があり、数値的にも感覚的も成り立っています。



理論がある「マシン」作り。


そういうのかっこよくないですか?(^^)


当然、マシンは、見た目がシンプルで美しいのがベストだと思っていますので、なかなかあのレイアウトから離れられません(笑)←みんなにもう飽きたといわれますが。奇抜な形状は、コンバージョンとしてサードパーティーに、やってもらえばよいと思ってます。


あくまでもメーカーが新車として発売するマシンは、そのノーマル状態は、できるだけシンプルで、しかし理論的で、戦闘力があり、その上で作業性が良く、みんなが改造しやすいこと、それがベストだと思ってます(^^)


ポール・ディラックの言葉を引用するなら…


どんな目的で?どんな理論で、どのように作ったのか?そしてそれが数値化できているのか?そして、誰にでも分かる言葉で伝えられることが出来るのか?


そんなマシン作りができるとよいですね(^^)


さて、今年は、ラジコンを広める活動をしますが、その一番は「レンタルラジコン」です。GRKグローバルSを1000台作って、日本中に貸し出します。子供たちに、ラジコンにふれあっていただく機会が増えます。いろいろな方に、うちが作ったラジコンで遊んでもらうんですが、そんなマニアックなラジコンがベースになっているって誰にも気が付かれませんが、そんな子供たちの中から、このラジコンに出会ったことで、将来エンジニアになって、とんでもないマシンを開発できる人が生まれてくると、日本のものつくりの未来がすごく変わってくると思っています。


なんでこんな話を書いたかというと、今日、寝てて夢の中で、ラジコンを設計していて、とある動きを、方程式化しようとして、数字をさわっていて、目が覚めて、その夢を思い出して、笑えてきました。(笑)オタクかよって!もともと数学と物理学が大好きなので、ラジコンを数字化したら楽しいだろうな~と思ったので、メモがてらブログに書きました。


ラジコンを研究するって、いろいろな要素で成り立ってますので、なかなか奥が深くて、これだけで一つの学問になりそうです。


さ、風呂入って、会社行って、ジオラマコース作ろう。


感覚的にね。