そこのけ。

と、誰かが楽しげに言った。
その誰かとは私のことだが。

本屋に寄った帰り道。
自転車というものは、夏場には割と良い乗り物であると知る。
漕ぐ度にそこそこ強い風が吹いてきて気持ちがいい。
川の近くの道を通ると尚、涼しい。
古い坂道であるそこは横から長い蔓を持った植物がぴったりと張り付いている。
陽当たりもなかなかよろしい其処は名前も知らない鳥が大量にいる。
群がる小さな鳥に、私は迷わずベルを鳴らす。

そこのけ。そこのけ。

ふむ。さてはて。この詩は誰のものだったかな。

雀の子、そこのけ。そこのけ。お馬が通る。


前にいるのは雀でもなければ、乗っているのが馬なわけでもないのだが。
坂道を下っているときに口ずさんでいた。

ああ。平和であることだ。