ちょうど1年前に書きかけて忘れていた

この季節はいつも体調不安定でザワザワする

 

 

知人の新築写真 玄関ドアがステキな緑色

 

そういえば私 緑が大好きなのに

家のペイントに緑を選んでない

 

緑色のドアで思い浮かぶ光景があり

 

 

新聞奨学生をしていた 夏の終わり

朝の配達時 一度だけ集金したことがあるその人にバッタリ会い

“3ヵ月新聞代がたまってるのですが…”と話したら

「今日の夜 1時に来て」

「‥‥深夜の1時ですか?」

「そう」

「それ以外に空いてるお時間はありませんか?」

「ずっとバイトしてるから 1時に来て」

そこは独身男子専用のアパート

玄関がとてつもなく臭い

 

専売所に帰ってみんなに話したけど

「大変だね」と言うばかり

まあ 誰も助けてくれないのはわかっていた

 

その頃は 配達時も集金時も

私はポケットにカッターナイフを持っていた

変質者をちょっと脅したことはあったが

もちろん使ったことはない

 

女友達が部屋で待っててくれるのが唯一心強く

私は深夜12:50に出発した

 

男子専用アパートは高校生位の子から社会人もいた

風呂ナシ トイレ共同の古い木造

新聞はいつも玄関の集合ポストに入れるが

集金は靴を脱いで中の木の階段を上がっていく

2階は8畳位の廊下(ロビー)があり

緑のドアが6つ位並んでいた

 

その人の部屋のドアを叩くと ドアは内側に開いた

身長165センチ位のメガネ男

部屋はベッドと机とカラーボックスだけ

 

「ああ 来たね」

「こんばんは すみません 3か月分で7500円ですけど」

「うん まあいいから 中入って」

「はい?」

「中に入ってドア閉めて 声が聞こえるから」

「いえ お金頂くだけなのでここで」

「しーっ …早く入ってむかっ

「規則で お家には上がれないことになってます」

(そんな規則はない)

 

「僕を疑ってますよね?」

「?」

「何かされるとでも思って?」

「いえ別に そういう訳では」

「僕が あなたなんかに 何かする訳ないでしょう」

その人が笑った時

 

向かい側の緑のドアが開いた

背がヒョロロと高く髪はフワフワ

彼はドアをしっかり開けたまま何も言わず 

また机の前に座って勉強を始めた

 

怒った横顔で 多分耳はダンボ状態で

 

私は勇気を出し 前より少し大きな声で

「私 2時から朝刊の仕事なんですよ

お金ないのでしたら今日は帰りますけど?」

 

その人は態度急変して集金終了

私が帰るのと同時に

向かいのお兄さんのドアも閉まった

 

 

翌日から私はそのポストに新聞を入れなかった

もう二度と集金に行きたくないなら

集金だけ専売さんにでも頼めば良かったのに

あの頃は頼り方も甘え方も知らなくて

 

それから2回位 その人の契約書が来たけど

やっぱり私は新聞入れなかった

理由を聞かれたら話したけど

管理の杜撰な専売所だったから

誰にも気付かれず終わってしまった

…なんでだ(笑)

 

 

あの日 1時半に部屋に帰り 

心配してた友人に一部始終を話したら

「その人 いいねぇー♡

向かいの部屋に入ってさぁ

中からドア閉めちゃえば良かったのにぃ」

 爆  笑ウインク

 

 

玄関にゴロゴロしてた男子靴のニオイさえ乗り越えたら

昔の小学校のような懐かしい造りのアパートだった

大人のピノキオさん (と当時は呼んでいた)

あれきりお会いしてませんが ずーっと感謝しております_(._.)_

 

今はほぼ引き落としだろうから

そんなこともないんでしょうね

 

杜撰な専売所 やっぱり今はもうないです(笑)