1000年前のソルフェージュ | ヴァイオリンへの身体作り

1000年前のソルフェージュ

今年の宮地楽器「ヴァイオリン骨体操講座」でも取り扱っておりますが

https://ameblo.jp/tempo120/entry-12676377903.html


いま、私が大好きな指導法はソルミゼーションです。


これは、1000年代にGuid d'Areezo(グイド・ダレッツォ)というイタリアの修道士が提唱したメソッドです。

ソルミゼーションは、17世紀まで続いたようです。


「その名前は音楽の教科書で見た!」と言う方もいらっしゃるかもしれません。

ドレミの創始者とか有線記譜法の考案者とか言われているのですから。

「グイドの手」は、グイドの後の人がまとめたものと伝えられていますが、グイドの頭の中にはあったでしょうね。


手の中に完全な楽譜が入っています。



彼の功績により、当時の修道士たちのグレゴリオ聖歌を歌うレベルは、段違いに高くなったようです。

歌唱力もアップし、初見力もアップし、記憶力の量とスピードもアップしたのでしょう。


他のグレゴリオ聖歌の指導者が妬むほどの功績を上げた、と、後世に伝えられています。


それはどのようなものかと言いますと、ut re mi fa sol laの6音だけを用いたソルフェージュ。

音はグイド以前からシはあります。しかしこの6音の階名で楽譜を読んでいくのです。

歴代の作曲家である、例えばモーツァルト ベートーヴェンも、これを習ったのです。



現在、ヴァイオリン骨体操協会所属の音楽指導者で、MMM(Method of Movement with Music)インストラクター以上の資格を有する者限定に

ソルミゼーションの録画講習会を開いています。




写真は、課題として取り上げたのは、お馴染み「大きな古時計」です。

(宮地楽器講座でも扱いました)


これを、グイドの提唱したソルミゼーションで歌っていきますと、自然に音楽が入るから不思議です。


この曲はグレゴリオ聖歌的に旋法で考えると、

Fをフィナリス(主音)とした、第6旋法、変格旋法であり、ヒポイオニアという音階です。


旋法は、基本は8つあり、主音は4つとします。

(後に分かれて12個になりました)

主音から上に5度+4度で音階が伸びるものを正格旋法と言い、「第1旋法」のように奇数の呼び方をします。


奇数の旋法のキャラクターは、

勇ましいとか闘いとか男性的とか主人とか。

これが偶数の旋法のキャラクターになると、

物哀しいとかはかないとか女性的とか家来とか。。。


「大きな古時計」が現代人の感覚だと長調なのに、〝なんか淋しくない?〟と感じるのは

歌詞の力もありますが、歌詞の力を活かす音階にも力がありました。

歌詞と、偶数の旋法(物哀しいetc.)の力が合ってるのですよね。

だから人の心に残り、国を超え時代を超えて歌い継がれてきたのでしょうね。




この、グイドのソルフェージュ(ソルミゼーションと言います)を知ることは

バロックや古典を演奏する人はもちろん必要なのですが、そうでなくても

なんと! 私のアマチュアの大人からヴァイオリンを始めた生徒も、もの凄く良い効果が現れます。


調弦もできないで10年近くを過ごしてきた、と言う方に、(私のところへ最近いらっしゃるようになりました。)いきなり初めて3オクターブのト長調のスケールを教え、ました。

翌週、3オクターブのスケールを弾きにレッスンにいらしても、その音程は不安定で、音を一回出してしまってから、指をずらして正しく直し、を繰り返し行う始末ショボーンプンプンガーンムキー

(メンタルにも非常に悪い)


そこで、ソルミゼーションで指を取っていただきました。すると、一回で3オクターブ全て、綺麗な音程にハマってしまいました✨



さすが、グイド。

彼は現代にも生きていますね。



グイドのソルミゼーションのヴァイオリン応用、知りたいですか?

では、ブログをここまで読んでくださった方のために、お教えします。


効果があるのはこんな方

・音程が悪い

・演奏が平坦でつまらない

・左手の形が悪い

・音楽を感じてない

etc.


例えば、こんな曲があります。


お馴染みのエチュード、カイザー。


MICKA

ELEMENTARNI ETUDY

Barenreiter Praha

H5450

ISMN 979-0-2601-0489-1


私が講座で最も良く使う二重奏です。


個人レッスンは、講師が伴奏パートを一緒に弾いてあげることは生徒を音楽的に成長させる、とてめ良い方法ですよね。


二重奏の教材、と言いますと、日本で広く普及している教材では篠崎ヴァイオリン教本、またはセビシックOp.6、などが挙げられるでしょうか。


さてしかし、全てのエチュードが二重奏なわけではありません。

生徒には自分でしっかりと楽譜を深く読み、自分で音楽をするように成長していただかなくてはなりません。



一昨年のヴァイオリン骨体操講座シリーズ〜「拍とリズムとメロディ」〜

のときは、このエチュードで

・リズムの意味(世界の叡智が自分へ入る)を振り付けしたり

・音程の気持ち(6度は憧れetc.)の所作をしていただいたりしました。

心が変われば演奏は変わるを、みなさん自ら体験していただきました。


さて、令和三年度の今年は「人類の精神性が高まってきている」と言われています。


と言うことで、今年はソルミゼーションを教えています。

つまり、中世ヨーロッパの頭の中になりましょうw



前述したカイザーのエチュードです。

私がマークしたところ、

ここに、間の音をいれます。

1小節目はソ音とシ音の間は1つ。ですからこの小節はソラシド、と入れます。

リズムは、同じ音価が続いてもいいですし、付点でもいいのです。そこは気持ちに従って。


さて2小節目はレ音からシ音まで離れています。

書かれていないミファソラ音を、時間内に入れます。

すると、、、、どうでしょうか。

短い時間に音がたくさん上昇した感じがして、エネルギッシュさが増しませんか?


次に弾くときは、もう間の音を入れなくしますが、生徒は音が跳躍するエネルギーを体得したので、もう音楽的な演奏が身につきました。



さてここで、二手に分かれる可能性もあります。

・スケールが弾けてるひと

・スケールが弾けないひと


スケールの練習も、グイドの提唱したソルミゼーションで驚異的に上達します。

私の個人生徒たちもそうでした。


曲にポジションチェンジがあるものも、大丈夫です。


ブログでこれ以上を書くのは難しいので、

ぜひ講座にいらしてください。

オンラインでも受講できます。


宮地楽器の講座、次回はポジションチェンジです。

講座では、まずは

・ポジションチェンジの7つの種類と

・身体作りの体操、

・ヴァイオリン的なテクニックの練習を少し


それから、頭の中をグイドのソルミゼーション的に作り替えていただきます。


すると、3オクターブの跳躍が初めてだった方も急に開眼してしまいますから、

どうぞ、どなたでもいらしてください。

ご参加お待ちしています。

https://strings.miyajimusic.jp/stretch_kouza/