「傍に居たいって言ったのは嘘じゃない。」
楠原君を見つめて、ゆっくりと話す。
「カズヤ君への気持ちの方が、一般的には恋愛感情なんだろう。けど、解ったんだ。俺は男の部分も含めて、【自分】なんだ。
守られたいっていう弱い部分も。
お前に辛い想いなんかさせないっていう男みたいな部分も。
全部が【自分】なんだ。両方出せるのは、お前の前なんだ。
だから、傍に居たい。庇護欲でも、同情でもいいんだ。俺が好きなら傍に居てくれ。」
「うん……。分かった。」
嬉しくてニカッと笑う。だが別な問題を思い出した。
「あっ! そうだ、他の男には触らせないって誓えるんだけど。カコに1回だけキスしてやってもいいかな?」
「えぇっ!?」
「あいつ、俺と1回キスしたら澤田と付き合えるって言ってて、あ、それは視えてたんだっけ。」
「ダメ! 絶対、ダメ!」
「なんでだよ? カズヤ君と付き合えとか言ってたくせに、なんでカコはダメなの?」
「その、人間、みな平等、男女垣根無さすぎが心配だからだよ!」
「う。」
「だいたい、ハル、カコちゃんが、1回で済まなくて、2回目とかそれ以上を求めてきたらどうするつもりなの?」
「え~っと。」
キスは平気だろ? その先はどうかな。あれくらいならしてやってもいいか?
「うわぁ~! 具体的に映像で想像すんの止めてよ!」
「スゲー。そんなもんまで視えるのか。エロ本要らずだな。あ、だから、この部屋にそういうの無いんだ。」
「違うから! っていうか、ハル、男の部分出しすぎじゃないの?」
「そりゃ、だってこっちが素だもん。お前に完全に気ぃ許したんだから、そうなるだろ。」
「嬉しいけど複雑だ!」
「まぁ、女言葉は修行するよ。どうせならお前の好みのやつを練習するぞ? 語尾にニャンとか付ければいいか?」
「そんな趣味じゃない!」
可笑しくて、可笑しくて笑う。
ずっと、こいつと喋っていたい。
前途多難な予感で始まった高校生生活。
恋愛を理解しなきゃっていう当初の目標と。
男言葉を早急に直さないとっていう目標は全く守れてないけど。
女友達がたくさん出来た。
男友達はもっと増えた。
彼氏っぽい親友が出来た。
自分の事を少しだけ好きにはなれた。
多難ではあるが前には進んでる。
幸せだ。
俺は今日も笑えている。
『彼女は恋愛が解らない』
終了