有斐斎弘道館の京菓子展

「一席一菓 あつらえのかたち」に行ってきました。

 

ポスターです。2月12日まで開催されています。

 

 

以前から有斐斎弘道館の茶会は行ってみたいと思っていたので、

ネットで御菓子と抹茶付きチケットを買って、

いそいそ行ってきました。

場所は御所の少し西です。

 

弘道館の入り口。歩いているうちに期待が高まります。

 

座敷に創作和菓子が18種類並んでいました。

9人の人が9人の菓子職人に注文して、

お菓子をあつらえたそうです。

 

そういえば私の先輩(眼科医 女性)がお茶会をした時に

伺ったことがありましたが、

その時出されたお菓子は、

お菓子屋さんと相談を重ねて作ったものだと言っていました。

お茶会のために特別にお菓子を作るのは、

楽しいことでしょうね、大変ですが。

 

 

スマホでお菓子を写している人がいたので

スタッフに写真を撮ってもいいのですか?とお聞きすると

どうぞ、という返事でした。

そのスタッフは私に付いてまわって

実に丁寧に説明してくれました。

 

この展覧会は、茶会で亭主がお客のために、

一期一会のお菓子をあつらえるという趣向ですが、

お客とか銘とかが面白いのです。

 

上はイラストレーターの天野喜孝さんが亭主で、

お客が「2千年後の自分」。銘は「遺伝子の記憶」

 


 

これは亭主が叶松谷という陶芸家で、お客が「縄文時代の陶芸家」、

菓子銘が「ほむら」。ピンクと黄色の炎をあらわしているのだとか。

 

 

亭主 夢枕獏 手前のお菓子の銘「魚籠」

むこうに写っているのは亭主は同じ夢枕獏、お客は「弓時」、菓銘「氷隠梅(ひごもりのうめ)」

夢枕獏は、この展覧会のために一篇の小説を書き下ろしたそうです。

題して『菓子女仙』。和菓子職人の幾世橋陽子は小説を読み、その思いを菓子にしたとか。

(弓時はその小説の若い男の名前。)

 

 

お菓子は茶室で頂きました。

露地を通って茶室に入ります。

 

 

一緒に茶室に入ったのは7人でした。

女性4人男性3人。

男性は雰囲気が料理人か和菓子職人のようで、

3人とも丸坊主、しゅっとして、座る姿勢のいい人たちでした。

(京都の料理人は丸坊主にしているところが多いです。)

女性は皆、素人な感じでした。

 

御菓子券を出すと、

それぞれが希望したお菓子が出され、

お薄も運ばれます。

 

私が選んだのは「sacred orb」(神聖な宝珠)という銘のお菓子です。

書道家の川邊りえこが亭主で、お客が「秦氏」

菓子職人は垣本晃宏(有名なパティシエ)です。

古代に大陸から渡来し日本文化の成立に多大な影響をもたらした、

秦氏をお招きするイメージで、宝珠の菓子を注文したとか。

 

 

パティシエが作ったこのお菓子は、

羊羹や寒天に、柚子や珈琲の風味をきかせて、

もっちりした口当たりの、

まさに和洋境界の菓子で、美味しかったのです。

ただ残念なことに、いかにも小さくて一口サイズ。

せめて倍くらいの大きさが欲しかった。

 

また、私に出された抹茶茶碗は魯山人でした。

 

 

北野の和菓子屋さん、有職菓子御調進所 老松の社長が十徳姿で出てこられ、

茶事とは毎回、その日のお客さんのための掛け軸、道具、お花、お菓子、着物などを用意するもの。お茶会は「4時間のドラマ」であり、「一期一会のインスタレーション」であるとか、

いろいろお話がありました。

今回の茶室のお道具も珍しく楽しいものばかりでした。

 

 

京都の弘道館は江戸中期の儒者・皆川淇園が1806年に建設した私設の学問所で、

大勢の学者や文化人を輩出したそうです。

2009年に学問所 址の数寄屋建築と庭園を取り壊して

マンションが建築されそうになり、

これはいけないと文化人が集まって、

保存運動が始まりました。

 

荒れ果てていた屋敷や庭の整備を行い、

現在は茶道を中心に和歌や能に関する講座を

「ちゃかぽん」と称して開催しています。

 

ちゃかぽんとは幕末の大老・井伊直弼のニックネームで、

彼が愛した茶の湯、和歌、鼓のポンと鳴る音を合わせた言葉だそうです。

 

ここの購入費や維持費で借金が大変なので、

どんどん宣伝してくださいよと言われました。

(ちゃんと宣伝しましたよ)

 

ふつう、茶室での写真はなかなか撮れませんが、

しっかり写真を撮らせてもらいました。

 

床の間 軸はヤノベケンジと言う人の絵。花は寒桜? 

 

 

風炉先屏風や曲げの水差しには、

茶会で集まった人たちがそれぞれなにか書いたもの。

大きな茶碗はエリザベス女王にお茶を差し上げたときの物とか。

小さい棗は宗旦の花押入り。

 

茶杓はイタリアのバイオリン職人がストラディバリウス用の木(?)で作ったというもの。

これ、欲しいな。

 

 

 

 

 

着物  藍色地の小紋

帯   絞りの袋帯

帯揚  若草色

帯締め レンガ色