テンペラ画の古典技法では

板に絵を描きます。

そしてその板を自分で準備するところから始めます。

 

でも絵を描くまでの道のりが遠いので、

初めての人には、私が板に石膏を塗って磨いたものをお渡しして

絵を描くところから始めていただいています。

それでも最後まで描き終わらず、

途中でフェードアウトする人もいました。

 

2年前にテンペラ画のサークルに入って、

すでに作品を1つ仕上げたSさんが、

「絵を描くための板を準備するところから始めたい」と。

 

では1からお教えしますと、張り切る私。

 

1月は会場として借りている公民館が希望日に借りれないので、

うちに来ていただきました。

1年前から参加しているEちゃん(大学生)にも声を掛けました。

 

 

板はシナベニヤを使います。

500年前はポプラや菩提樹の1枚板を使ったようですが、

1枚板はどうしてもそりが出てきます。

 

ヨーロッパの美術館では、板に描かれたテンペラ画の

表面がカーブしているのが見られます。

 

・・・でも、シナベニヤは何百年も経った時、

ばらばらにならないのでしょうか?

まあ、私の作品とかは歴史に残るわけでなし、

その心配はしなくてもいいですがね・・・。

 

 

 

工程

板は前もって表面をやすり掛けしてコーティング剤をはがしておき、

温かいウサギ膠水(膠と水1対10)を、たっぷり板に塗った後、

麻布(洗って糊を落としておく)を貼ります。

 

刷毛で膠水を塗っているところ

 (今回写真を撮り忘れ、これは公民館でした時の写真です)

 

 

膠水で麻布を貼っているところ。この後、指で擦ってしっかり貼り付けます。

 

なめらかな表面に石膏を塗っても、あとで剥がれることがあるので、

石膏がしっかり板にくっつくために麻布を貼るのです。

 

 

 麻布を貼り終わった状態

 

 裏の状態です。初めてにしては上手。

 

 この板はSMサイズ。そば猪口で浮かせてあり、このまま2,3日乾燥させます。

 

 

終ってから、疲れた2人にお薄を差し上げて

とても喜ばれました。

 

御菓子は最中(写真なし) とお干菓子

 

亭主はずっとマスクをしているし、お客は横並びですし、

このコロナの時期にお茶を差し上げるスタイルとしてはいいですね。