数年前の夏、

フランスのトゥールーズから、

麻酔科のドクターが美人の奥さん、お嬢さんと一緒に

日本に遊びに来ました。

 

世界の医療団から派遣され、

2007年から2012年までカンボジアで

年2回2週間づつ、一緒に働いた人です。

 

英語の苦手なフランス人医師もいますが、

彼は英語がとても上手だし、

優秀な麻酔医です。

 

京都でお会いして

祇園でお食事をご馳走しましたよ。

 

その時、お土産として、

彼が自分で作ったフォアグラの缶詰(!)と

浅葱色のドイリーをいただきました。

 

トゥールーズはフォアグラが有名ですが、

調理して自分で缶詰まで作る人だったんですね。

 

後日ワイン仲間と一緒に食べましたが、

あんまり美味しくて、みんなで興奮してしまいました。

お店で食べるよりずっと美味しかったのです。

 

 

フォアグラはさておき、

頂いたドイリーです。

 

トゥールーズでは、昔から青い染料「パステル染め」が有名で、

これは植物染料で、とてもいいのだと説明を受けました。

 

         柔らかできれいな青色です。

 

パステル染は、

絵を描くパステルと関係あるのかと思って調べましたが、

関係ありませんでした。

 

フランス語はパステル(Pastel des teinturiers 染料のペーストの意味)といいますが、

日本語はタイセイ(大青) 英語はウォード(woad  )

 

南ヨーロッパを原産とする、アブラナ科タイセイという植物です。

 

 

インディゴを含むので、葉を摘んで刻み、桶に入れ、

水を注いで発酵させて染める・・・日本の藍染と同じですね。

 

これは藍玉のようにお団子を作って保存できるようです。

ここからパステル(ペースト、練り固めたものという意味)染と

名付けられたのかもしれません。

 

 

  ホソバタイセイの葉  

日本では気仙沼でトゥールーズから取り寄せた種を栽培し、

パステル染めをしているらしい。 画像はネットからお借りしました。

 

 

古い時代のヨーロッパでは、青は死を思わせる色でしたが、

13世紀頃から染色技術が進歩し、

きれいな色が出せるようになって

人々からもてはやされるようになりました。

 

14世紀半ばには

南フランスのトゥールーズ・アルビ・カルカソンヌを結んだ

大三角地帯でタイセイが多く栽培され、

染色で大いに繁栄しました。

 

しかし、16世紀末にインドからもたらされた、

もっと強力な染色力のインド藍により、
パステル染は駆逐されました。

 

伝統的なモノ作りを継承するメーカーにより

わずかにパステル染は伝承、復活されているようです。

 

 

なお、白っぽく明るい色を

パステルカラーというのは

和製英語だそうです。

このパステル染めの

ちょっと白っぽい色から来たのかと思いましたが

違いました。