
ラバウル艦爆隊始末記 ソロモン航空戦の全貌 松浪清著
潮書房光人社NF文庫ノンフィクション、2014年、381ページ
著者は艦上爆撃機偵察員で、この本には1942年半ばから、1943年10月までの約一年間、582空艦爆隊員として、ラバウル、ブイン基地を中心に、ニューギニア戦線、ガダルカナル、中部ソロモン戦線に参加した記録を、本人の体験、582空飛行隊戦闘行動調書、及び当時の山本司令戦闘日記などから調べ上げ記したもの。
艦爆隊に関しては、搭乗割まで掲載されたのもあり詳しい。ただし同期間の航空戦は参加した全ての航空隊が網羅されている。米軍の公表された記録も参照され、必ずしも日本側からだけの一方的なものではない。同時期のモリソン戦記も参照されているが、それはほぼ米軍公表値を採用しており、むしろモリソン戦記の記述に対し批判的な態度をとってある。特に1943年6月16日のルンガ沖航空戦での、米軍側の損害、航空機損失(6機)と艦船被害(二隻が損傷のみ)に対しては、日本軍は零戦18機、艦爆13機もの被害を出しているのに比べ、実際に戦闘に参加し目撃した事実とかけ離れていると、米軍側にも何か事実を隠蔽する必要があったのではないかと疑っている。零戦の被害には宮野善治郎大尉以下歴戦のパイロットが多く含まれていた為でもある。一方的にやられたはずはないと。
艦爆隊は最初だけ99艦爆11型だったが、直ぐにエンジン出力アップしキャノピー形状が変更された22型に換装になっている。
この記録を読むと、熟練度が同等であれば、数が多い方が、落とされにくくなる、特に編隊行動を取り戦闘を行う場合、ということがよくわかる。また99棺桶と呼ばれた爆撃機であるけれども熟練搭乗員にかかれば、四機編隊のシコルスキー(F4Uコルセア)から代わる代わる攻撃を受けても、的確に反撃し逃れる事も可能であった事がわかった。文庫本であるが、多くの知見が含まれている。