今回はイスラエル最大の商業都市テルアビブを紹介したいと思います。

(ヤッフォから見たテルアビブ)

(テルアビブのビーチとホテル群)

 

前回は古代の港町ヤッフォを紹介しましたが、今回ご案内するテルアビブはそのヤッフォと1950年に合併して、「テルアビブ・ヤッフォ」市となっています。

このテルアビブ周辺には10万人を超える街がいくつもあり、全てを含めると約410万人でイスラエル人口4割以上の大都市圏となります。このイスラエル最大の都市圏のことをヘブライ語で「グッシュ・ダン(גוש דן)」と呼んでいます。

いわばイスラエルの文化や経済の中心都市となっています。

ちなみにテルアビブの人口は約48万人(2023年12月現在)で、イスラエルではエルサレム(約99万人)に次いで2番目に大きな都市です。

テルアビブの歴史は新しく、1909年にわずか250人ほどのユダヤ人がやって来て開拓されたのがテルアビブの始まりです。

当時の開拓団のリーダー格で初代市長になったメイール・ディーゼンゴフは、「このテルアビブの町がいずれは25000人を超えるだろう」と言ったというエピソードがありますが、100年余りの間に当初の目標の約20倍に膨れ上がり、周辺の都市の数を合わせると、160倍以上になったことになります。

それほどテルアビブの発展は目覚ましいものがあると言えますね。

 

1948年5月14日にイスラエルが建国しますが、その際、後に首相となるダビッド・ベングリオンが独立宣言を読み上げたのもここテルアビブでした。

今でもその時に使われた建物は「独立記念ホール」として残っていますが、現在は大改修工事を行なっているため建物に入場することができません。レストランやお洒落なお店が並ぶロスチャイルド通りの一角にあります。写真は数年前の様子です。

 

 

 

(独立記念館)

(独立宣言のホール)

(独立宣言文)

(緑豊かなロスチャイルド通り)

テルアビブは意外と知られていないのですが、世界遺産の町です。1920年代にドイツの建築学校バウハウスで学んだ人たちが手掛けた建物が今でもテルアビブ市内の各地に残っていて、その数は4000を超えるようです。建物の色が白かったところから「白亜の都市」という名前が付けられ、2003年にユネスコの世界遺産「テルアビブの白い都市-近代化運動」として登録されました。

市内中心のロスチャイルド通りやディーゼンゴフ通りなど、様々な場所でその建物を見ることができます。

 

日本で言えば国立劇場にあたるハビマー劇場

ディーゼンゴフ広場です。昔はこんなロータリーではなく、歩道(上部)と車道(下部)の二層になっていました。

 

イスラエル最大の目抜き通り、ディーゼンゴフ通りです。個人的にはちょっとした思い入れがある場所です。

1990年代にイスラエルでヘブライ語を学んでいた時、聖書の時代には決して使われていなかった単語、いわゆるスラングを授業の一環で習ったことがありました。そのスラングで最初に覚えたのが、このディーゼンゴフ通りに関連のある単語でした。

「להזדנגף(レヒズダンゲフ)」日本語に訳すると、ディーゼンゴフる、です。銀ぶらする(銀座を歩く)というような意味ですね。

まさにディーゼンゴフ通りや広場、またその名前の付いたショッピングセンター、ディーゼンゴフセンターへ遊びに行く時に使われる言葉です。

この単語を習った時は、ちょっと衝撃でした。まさかヘブライ語で、銀ぶらのような言い回しがあるのかと。

その時はまだディーゼンゴフ通りに行ったことがなく、いくらイスラエル人が「イスラエルのシャンゼリーゼ通りだ」と言って自慢していても、イメージがわきませんでしたので、その単語を習った直後に一人で出かけて行って、“ディーゼンゴフって”きました。

うーん、正直なところ、シャンゼリーゼ通りという感じでありませんでしたが、通りをぶらぶらするのが好きな私にとっては、格好の場所だったということを思い出します。

言葉は時代とともに変化しているので、私が当時習った「ディーゼンゴフる」という言葉はすでに死語になっていますね。

 

これはテルアビブに限りませんが、イスラエルでは数年前より日本食ブームが続いていて、何と日本のラーメン店も出店しています。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、「MEN TENTEN」というラーメン店で、イスラエルでは珍しく行列のできるお店としても知られています。

私がテルアビブに住む友人と食べに行った時も、やはりお店の前に数名のイスラエル人が並んでいて待っていましたが、日本と違うのは黙ってスマホをいじりながら過ごしたりはせず、友人や知人と談笑してその待ち時間を過ごしていることです。

お店の看板です。

毎日大繁盛のお店だそうで、いわゆるラーメン専門店というより居酒屋も兼ねているため、ラーメンバーの感じのお店です。

メニューはラーメンだけではなく、お寿司や唐揚げ、カツカレーなど日本の食堂のメニューもあり、日本の方が調理されているのも売りの一つです。

もう一つ珍しいのは、ユダヤ教やイスラム教など、イスラエルでは宗教上、食事の規定がとてもうるさく、特に料理に豚のエキスを使うなんてことはNGですが、そんなイスラエルでもここのラーメン店では「とんこつラーメン」が食べられます。おそらくイスラエル唯一の、正真正銘の豚骨を使ったラーメンです。

少し味付けは濃いめでしたが、ちゃんとしたとんこつラーメンで美味しかったです。

テルアビブはユダヤ教徒の多いエルサレムなどと違い、世俗派が多く住む街のため、このように宗教上ではNGの料理を出してくれるレストランが数多くあります。

ちなみに、「とんがらラーメン」という名前で出されていますが、1杯56シェケル、日本円で約2350円です。

(1シェケル=約42円 2024年3月9日現在のレート)

ぜひ一度イスラエルで本格的なとんこつラーメンを食べてみてください。

 

次回はさらにディープなテルアビブの観光スポットや名所などを紹介していこうと思います。