◇今回から、数か月前にイスラエルへ移住したH.Mさん(女性)に、折に触れてイスラエルでの様々な生活の様子をリポートいただくことになりました。最近ですと、日本のニュースでも報じられていた情勢の事が頭に浮かびますが、どのような日々を過ごしていたのでしょうか。

 

 

<10日間の混乱の中…>

 

10日間にわたったハマスとイスラエル当局との戦いが、ようやく停戦になりました。

ことの始まりは、5月10日18時2分、突然外でサイレンが鳴ったところからでした。

夕食を作っていたわたしは、急いでコンロの火を止め、外の様子を確認しました。この日は「エルサレムの日」といって、エルサレム統一を記念し祝う日だったので、それにちなんだサイレンかと思ったのです。でも、お祝いや追悼のためのサイレンは1分ほどなのに、随分長いなぁと思いながら調べてみると、ガザからハマスによるミサイルがイスラエルに飛んできたとのことでした。

イスラエル南部の町やテルアビブ、エルサレムなどに、10日間で約4000発のミサイルがガザから発射されました。大学や学校は家でZoomを使って受ける授業に切り替わりました。

ある日本人のお母さんと話していると、「夜中もサイレンが鳴り、寝ている子どもを起こしてシェルターに何度も隠れたので、子どもが寝不足です」とボヤいていました。


写真:家のシェルター(大抵どこの家にもシェルター用に分厚い金属製の扉がついた部屋がある)

 

ミサイルのほかにも、イスラエル国内では、アラブ人とユダヤ人による衝突が増えました。わたしの住む地域でも、アラブ人によるユダヤ人への集団暴行があり、翌朝様子を見るとガラスが割られた自動車がそのまま置いてありました。

 

そんな中、隣のユダヤ人のご家族と一緒にシャバット(安息日)を過ごしました。「イスラエルには、ユダヤ人、アラブ人、いろいろな人種の人が一緒に生活しているけれど、この混乱でできた溝は修復されるのでしょうか?」と尋ねると、その家のお父さんが、4歳の娘さんが通う幼稚園の話をしてくれました。

「うちの幼稚園は、ユダヤ人だけではなくアラブ人も通っているから、少し心配だったけど、子どもを幼稚園に迎えに行くと、みんな仲良く遊んでいるよ。幼稚園では親同士もミサイルや暴動の話はしない。子どもたちには関係ないからね。もし親が怖がったり、お互いを嫌いになったりしたら、子どもも同じように思ってしまう。幼稚園では、ユダヤ人もアラブ人も関係なく仲良く遊んでいるし、わたしたちもそうであってほしいと願っている。」と。

 

停戦し、日常が戻ってきたので町に出てみると、「暴力は反対だ、暴動は起こさない」とヘブライ語とアラビア語で書かれたポスターが、町にたくさん貼ってありました。

 

写真:町中のポスター「エルサレムは暴力に反対する」

 

普段は、街を走っている路面電車に乗っていても、見た目は違うし、話す言葉もヘブライ語、アラビア語、他にもたくさんの言語が聞こえてきます。

ユダヤ教の伝統的な服装や様式を守っている宗教家ユダヤ人夫婦が、5人の子どもを連れて歩いていることもイスラエルでは珍しいことではありません。

宗教家ではないけれどユダヤ文化を大切にしている無宗教の若者、世界各国から帰還してきたユダヤ人、イスラエル独立前から代々イスラエルに住んでいるアラブ人、エチオピア系ユダヤ人など本当にいろいろな人が生きている場所です。

時々衝突は起きますが、生きてきた背景が違い、人種も宗教も違う人たちが、「イスラエル人」として協力しながら生活している姿には感動します。

 

 

◇主婦の目線で、日本との生活の違いから驚いたエピソードを伺いました。

 

 

<買い物でのエピソード>

 

主婦目線といえば、やはり市場やスーパーマーケットでの買い物でしょうか。

野菜や果物の積み上がり具合が日本のスーパーマーケットと違います。この量は腐らずに消費できているのかしら…と思います。たくさん積み上げるので、トマトやレモンがよく床に転がっています。日本では見たことがない光景です。

 また、大袋で売られている野菜の袋を破って自分の好きな量だけカートに入れたり、レジで精算する前に食べたり飲んだりして…日本と違うことが多く、最初は戸惑いしか(・ ・)ありませんでした。

 前にいる人のクレジットカードがうまく読み込めず、レジに30分並ぶことも。やっと列が進み、自分の番が来たと思ったら、急にパンを食べ、コーヒーを飲み始めるレジ打ちのおばちゃん…、マスクの下で「えー!?お客が目の前にいるのに!?」と開いた口が塞がらない状態でしたが、日本の常識で考えてはダメ、「ここはイスラエル!」と何度も自分の心に言い聞かせています。

こういうところにも、ルールに縛られないイスラエルの民族性を感じますよね。

 

写真:野菜や果物市場

 

イスラエルはコロナワクチンの高い接種率のおかげで、屋外でのマスク着用義務がなくなりました。それに伴い、コロナで一年間閉まっていた場所(園の墓や各教会等)が開き始めています。

イスラエルでは、観光客が再びイスラエルに戻ってくることを今か今かと待っています。

イスラエルに来た時は、もちろん聖地も回りつつ、賑わいをみせる市場やスーパーマーケットにも寄られることをオススメします!

 

写真:普段の街の様子(旧市街 ダマスカス門)

 

◇様々な面において魅力的なイスラエルの日常の様子を今後も掲載していければと思います!