教科書などでは、ドとミとソを鳴らすとCのコードになると説明されていますし、僕もそのように教えることがあります。
 

しかし、実際的には中域から上で演奏される和音と低音を組み合わせたものがコードだと理解するほうが良いでしょう。

例えば下の譜例では上部和音はドミソが鳴っていますが、、低音でラが鳴らされているため、コードはCではなくAm7になります。


 

ギターのようなコード楽器を演奏する人は「コードは上部の和音と低音の組み合わせで決定される」ということに無頓着になりがちです。ここからはギターのコードがどのような構造になっているのかをご説明しましょう。

 

ところで、ギターは実際に鳴り響く音よりも1オクターブ高く記譜されるという習慣があるので、あまり意識しませんが、実はギターの音って結構低いんです。それを示すために、あえてイレギュラーにへ音譜表を用いて記譜することにしましょう。ローポジションのCとAm7のコードの構成音を記譜したのが次の譜例です。


 

Cのコードの「低音」のドは5弦3フレットで演奏されます。「コードは上部和音と低音の組み合わせで構成される」というお話を思い出してください。上部和音がCのまま、低音をラに変えるとAm7というコードになるのでしたよね。

 

Cのコードの上部和音は1弦から4弦で鳴らされるミドソミです。そして低音は5弦3フレットのドです。

 

CのコードからAm7にコードチェンジしたいなら、上部和音はCのまま低音だけらに移れば良いので、1弦から4弦のミドソミはそのままで良さそうです。

 

5弦3フレットのドをラにするのは簡単ですね。そうです。薬指をはなして、5弦を開放弦にすればすむはなしです。そのようにして演奏すると譜例2小節目の音が鳴り響きます。

 

さて、この時の左手の形をみてください。ほら、おなじみのAm7の「形」になったでしょ。

このようにみなさんが「形」として覚えているギターのコードも、ピアノと同じように上部和音+低音の形でできているのです。

 

この考え方はバンドアンサンブルにおいてとても重要です。ベーシストは自分の出す音がコードを決定づけていることを意識しましょう。ギタリストはベーシストの出す音と自分の音が組み合わさってコードが決定されることを意識しましょう。
キーボーディストは左手がベースを、右手がギターを邪魔しないように弾き方を考えましょう。