結論から言えば《紅蓮華》は「ABAの三部形式+サビ」という形で分析ができる。

冒頭から曲の展開にそって検討する。

 

[A]

歌詞で言えば「強くなれる」から「進め」までが[A]ポップスの常套句で考えれば「サビ」を冒頭に持って来る「サビ出し」だと一瞬感じるが実は違う。これがトリック。

 

[B]

「泥だらけの」から「掴みたいものがあるそれだけさ」までが[B]。[A]のコード進行が C→Dsus4→Em という進行であるのに対し、 [B]のコード進行はEm→D→C と[A]の鏡像的であることがポイント。

 

[B']

「夜の匂いに」からはメロディが変わるので一見新たなセクションのように思われるが、実はコード進行は[B]と同じ、セクションを閉じる「それだけさ」の言葉もメロディも[B]と同様。そのことからこのセクションはBの変奏だと解釈しうる。したがってここでは[B']として分析する。

 

[A(再)]

 

再び冒頭のメロディが現れる。ここまでで A-B-Aの三部形式。

 

[サビ]

「どうしたって消せない夢も」から「てらして」までが本当のサビ」

結論

聴き手にJ-POPの王道である「サビ出し」と予想させておいて、その予想を裏切る。「サビ」だと思っていたものがA-B-Aの三部形式のAだった。そのような裏を書く構成が《紅蓮華》の楽式上の特徴である。

 

参考:

《紅蓮華》LiSA(作詞) , 草野華余子(作曲)