1978年 日本 121分
降旗康雄監督 任侠/ドラマ
高倉健、田中邦衛、夏八木勲、北大路欣也、池上季実子、峰岸徹、三浦洋一、小池朝雄、寺田農
最近、邦画ブームだ。時代劇以外の作品は敬遠していたが、家内の影響で鑑賞作品の幅が広がった気がする。まさか、この歳で健さんの映画を観ようとは・・・！！
組の為に裏切り者を殺して服役するヤクザの加納秀次を寡黙に高倉健が演じる。秀次は15年の服役を終えて街に戻ってくるが、彼が気になるのは殺した相手の娘の行く末だ。服役中もブラジル在中の叔父と偽って文通を重ねていたのだ（ブラジルから手紙を投函した手段は不明）。
殺した男の娘を池上季実子が演じているが、最初は誰か分からなかった。初々しく「オジサマ！」と電話口で叫ぶ姿は純真無垢で可憐だ。そして何となく石原さとみに似ている。
服役中は「出所したら一番に会いに行こう（意訳）」と思うも、父親の仇である自分にその資格は無く、陰から見守る事を決意するが、無言電話を掛けたりと未練がましい健さんの姿に哀愁を感じた。そんな健さんの姿は見たくなかったのだが・・・。
物語は関東と関西のヤクザ同士の抗争のおかげで堅気に戻ろうと心に決めた健さんの身辺がきな臭くなってくる。世話になった親分が殺され北大路欣也が演じる息子が敵討ちを画策するのを止めるべく自ら修羅の道に戻る男の姿がクロード・チアリの悲哀に満ちたギーターの音色をバックに描かれる。各人の行く末が気になる作品だった。
本作品の一番の見所は、健さんのキレた喧嘩の場面でも、池上季実子を優しい眼差しで見つめる場面でもない。冒頭の出所後に田中邦衛が用意したマンションで、食パンに何回もジャムをたっぷり塗ってがっつく嬉しそうな顔が一番印象に残るのだ（美味しい食事に飢えてたのネ）。
