〈怪奇!恐怖の予告状!〉
「いやはや、参った。舟はどうも、苦手なのをすっかり忘れてたよ。」
「先生ったら、このくらいの揺れでいつまでもフラフラしてちゃ、名探偵の名が泣きますよ!」
「ミミコはよくそんな平気でいられるな・・・。」
本土からここまで、揺れるに揺れて3時間。
死ぬ思いをして辿りついた先は、ウサリンコ島。
豊かな自然、
美しい砂浜、
真っ青な海。
あぁ、なんて綺麗なんだ! 船酔いで疲れた身体も癒される。
10年ほど前までは無人島だったのを、トラネコフの父が島ごと買ったと風の噂で聞いたことがある。
「おーーーい、こっちニャこっちニャ!」
森の向こうから誰かこっちへ走ってくる。
彼の身振りはとても特徴的であるが故に、一目みて我が親友だと分かった。
「にゃあ、お久しぶりだニャ!ウサたんてい君。見る限り昔とあまり変わってないようだにゃ!」
「はは。トラネコフ君はまるっきり変わってないよ。君の身振り手振り、口調、全部覚えてる。」
「そうかにゃ?自分では良く分からないニャ。・・・それはさておき、君の活躍は島の中でも聞こえてくるほどだニャ!今日は期待してるニャ!」
「そうかいそうかい。ところで、肝心の依頼の内容についてなんだけど・・・」
「あぁ、そのことなら、直接お屋敷で話した方がはやいニャ!こっちだニャ!」
「そこの若いお嬢さんも、ここらは道に迷いやすいから気をつけるんだニャ~。」
「はいは~い。トラネコフさ~ん!プンプン!」
心なしか、ミミコが不機嫌そうに見える。
気のせいだろうか?
森を奥へと進んでゆく。
30分ほど歩いたのち、古めかしい屋敷が見えた。
「わぁー!立派で古そうなお屋敷ですね!あれ?でもこの島ってつい最近開発されたって聞きましたけど。」
「こう見えても、このお屋敷は10年ほど前に建てられたんだニャ。僕のお父さんがわざと古く見えるようにと言ったんだニャ。」
「ほえ~。物好きなお父さんなんですねっ。」
ミミコ、それは失礼だっ!
「僕の家族が中で待ってるはずニャ!今開けるから待ってるニャ!」
(ギギギギギギ・・・)
固く、重そうな扉。
この扉が開かれるにつれ、
なぜだか期待や希望で膨らんでいた私の胸はしおしおと音を立ててしぼんでゆく。
なにか、悪い、不吉な予感が・・・。
扉が開いた。
「おかえりー!おとーちゃん!」
「アナタ、お帰りなさい。ウサたんていさん、わざわざ遠いところから起こし頂いてありがとうございます。」
「・・・・・」
「お帰りなさいませ、トラネコフ様。」
「ようこそおいでませ、ウサたんてい様。」
「にゃあにゃあ、全員集まっていたかニャ。」
屋敷にはトラネコフを含めて6人で住んでいるらしい。
「ではさっそく僕の家族の紹介をするニャ。
右端にいる子は僕の可愛い娘、ニャミだニャ。
その隣が僕の奥さん。音子(ねこ)だニャ。昔から足が悪くて車椅子に乗ってるニャ。主にニャミが付き添っているニャ!
その隣の女性も僕の娘だニャ。シエティーって名前だニャ。お年頃なのか、最近は反抗心がバリバリニャ!
左にいる2人はこの屋敷の使用人だニャ。なにか入り用があったら、何でも申しつけるといいニャ。」
私は彼らに軽く会釈を交わした。
早く本題の依頼の内容について聞きたい。
しっとりと汗がにじみ出てくる。
長年の勘というヤツであろうか。
さっきから、息が苦しい。
「あぁ、・・・トラネコフ君。そろそろ聞かせてもらえないかな。」
「そうだったニャ。音子、あの紙を見せてやりなさい。」
「はい・・・。」
そう言って彼女は胸ポケットから一枚の紙切れを取り出す。
「この手紙が2日前、郵便受けに届いていたんです。初めはイタズラかな、と思ったのですが、やはり恐ろしくて・・・」
音子が私に、その手紙とやらを前に出してくる。
私はおそるおそる受け取り、それを、見る。
殺(コロ)リスト。
普段の私ならこんな手紙、馬鹿馬鹿しいと掃き捨てるだろう。
しかし、これは・・・
私に中にはそれを否定できる自信がない。
△月□日。
ちょうど明日だ。
「ニャニャニャ。そう億すことないニャ、ウサたんてい君。
依頼の内容は、『音子を明日まで守りきること』。
まあ、そんな手紙なんてどうせ誰かのイタズラニャ。特に何も起こらなくても、ちゃんと報酬は払うから安心するニャ!」
「分かったよ、トラネコフ君。・・・この予告状、確実に未然に防いでみせる!」
「いやはや、参った。舟はどうも、苦手なのをすっかり忘れてたよ。」
「先生ったら、このくらいの揺れでいつまでもフラフラしてちゃ、名探偵の名が泣きますよ!」
「ミミコはよくそんな平気でいられるな・・・。」
本土からここまで、揺れるに揺れて3時間。
死ぬ思いをして辿りついた先は、ウサリンコ島。
豊かな自然、
美しい砂浜、
真っ青な海。
あぁ、なんて綺麗なんだ! 船酔いで疲れた身体も癒される。
10年ほど前までは無人島だったのを、トラネコフの父が島ごと買ったと風の噂で聞いたことがある。
「おーーーい、こっちニャこっちニャ!」
森の向こうから誰かこっちへ走ってくる。
彼の身振りはとても特徴的であるが故に、一目みて我が親友だと分かった。
「にゃあ、お久しぶりだニャ!ウサたんてい君。見る限り昔とあまり変わってないようだにゃ!」
「はは。トラネコフ君はまるっきり変わってないよ。君の身振り手振り、口調、全部覚えてる。」
「そうかにゃ?自分では良く分からないニャ。・・・それはさておき、君の活躍は島の中でも聞こえてくるほどだニャ!今日は期待してるニャ!」
「そうかいそうかい。ところで、肝心の依頼の内容についてなんだけど・・・」
「あぁ、そのことなら、直接お屋敷で話した方がはやいニャ!こっちだニャ!」
「そこの若いお嬢さんも、ここらは道に迷いやすいから気をつけるんだニャ~。」
「はいは~い。トラネコフさ~ん!プンプン!」
心なしか、ミミコが不機嫌そうに見える。
気のせいだろうか?
森を奥へと進んでゆく。
30分ほど歩いたのち、古めかしい屋敷が見えた。
「わぁー!立派で古そうなお屋敷ですね!あれ?でもこの島ってつい最近開発されたって聞きましたけど。」
「こう見えても、このお屋敷は10年ほど前に建てられたんだニャ。僕のお父さんがわざと古く見えるようにと言ったんだニャ。」
「ほえ~。物好きなお父さんなんですねっ。」
ミミコ、それは失礼だっ!
「僕の家族が中で待ってるはずニャ!今開けるから待ってるニャ!」
(ギギギギギギ・・・)
固く、重そうな扉。
この扉が開かれるにつれ、
なぜだか期待や希望で膨らんでいた私の胸はしおしおと音を立ててしぼんでゆく。
なにか、悪い、不吉な予感が・・・。
扉が開いた。
「おかえりー!おとーちゃん!」
「アナタ、お帰りなさい。ウサたんていさん、わざわざ遠いところから起こし頂いてありがとうございます。」
「・・・・・」
「お帰りなさいませ、トラネコフ様。」
「ようこそおいでませ、ウサたんてい様。」
「にゃあにゃあ、全員集まっていたかニャ。」
屋敷にはトラネコフを含めて6人で住んでいるらしい。
「ではさっそく僕の家族の紹介をするニャ。
右端にいる子は僕の可愛い娘、ニャミだニャ。
その隣が僕の奥さん。音子(ねこ)だニャ。昔から足が悪くて車椅子に乗ってるニャ。主にニャミが付き添っているニャ!
その隣の女性も僕の娘だニャ。シエティーって名前だニャ。お年頃なのか、最近は反抗心がバリバリニャ!
左にいる2人はこの屋敷の使用人だニャ。なにか入り用があったら、何でも申しつけるといいニャ。」
私は彼らに軽く会釈を交わした。
早く本題の依頼の内容について聞きたい。
しっとりと汗がにじみ出てくる。
長年の勘というヤツであろうか。
さっきから、息が苦しい。
「あぁ、・・・トラネコフ君。そろそろ聞かせてもらえないかな。」
「そうだったニャ。音子、あの紙を見せてやりなさい。」
「はい・・・。」
そう言って彼女は胸ポケットから一枚の紙切れを取り出す。
「この手紙が2日前、郵便受けに届いていたんです。初めはイタズラかな、と思ったのですが、やはり恐ろしくて・・・」
音子が私に、その手紙とやらを前に出してくる。
私はおそるおそる受け取り、それを、見る。
殺(コロ)リスト。
普段の私ならこんな手紙、馬鹿馬鹿しいと掃き捨てるだろう。
しかし、これは・・・
私に中にはそれを否定できる自信がない。
△月□日。
ちょうど明日だ。
「ニャニャニャ。そう億すことないニャ、ウサたんてい君。
依頼の内容は、『音子を明日まで守りきること』。
まあ、そんな手紙なんてどうせ誰かのイタズラニャ。特に何も起こらなくても、ちゃんと報酬は払うから安心するニャ!」
「分かったよ、トラネコフ君。・・・この予告状、確実に未然に防いでみせる!」