〈ウサウサ密室ぴょんぴょん殺人事件!〉チュンチュン・・・チュンチュン・・・
「うーん、最近、仕事の依頼がなかなかこなくて大変だなぁ。」
おっと、紹介が遅れてしまったね。
私の名前はウサたんてい。
名前の通り、どんな難事件でもピョンと解決する名探偵だ。
しかし、今ではこの通り、退屈を持て余す日々だよ。
「すいませーん、ニンジン食べてたら遅れちゃいましたー。」
お、来たようだね。
「構わんよ、入りたまえ。」
(カチャッ)
「遅れても仕事なんてどうせ無いですから、歩いてきちゃいました!」
彼女の名前はミミコ。
私の助手である。
少し間が抜けているが、彼女の耳は10km先のニンジンスティックが落ちる音を聞き分ける力があるのだ。
(ジリリリリリ)
(ガチャッ)
「もしもし、こちらはどんな謎でもピョンと解決!のウサたんてい事務所です。本日はどういったご用件で?」
「あー、ウサたんてい君、僕だニャ。覚えているかニャ?」
どこかで聞いた事のある、独特なしゃべり方。
「うーん、その声は・・・トラネコフ君かい?」
「覚えてくれてたかニャ!嬉しい限りだニャ!」
トラネコフ君とは同じ大学で、一緒にミステリー研に入ってた仲だ。
「いやはや、懐かしいよ、トラネコフ君。元気にしてたかい?」
「僕はいつでもげんきだニャ!それよりウサたんてい君、依頼だニャ!ビッグミステリーだニャ!」
「ほほぅ、仕事かい?退屈してたところだ。喜んで引き受けよう。」
「ありがとうだニャ!場所はウサリンコ島にあるお屋敷ニャ!依頼の詳細については現地で説明するにゃ!歯ブラシとかタオルはこっちで用意してあるから、手ぶらで来ても何の問題もないんだニャ!それとそれと……」
「ありがとう。さっそく明日の朝一に舟で向かうよ。」
「待ってるニャ!」
(ガチャッ)
「さーて、久しぶりに面白そうな事件が舞い込んできたぞ!ミミコ、さっそく準備しよう。」
「はーい!お屋敷に行くんですよね!うきうき♪」
突然電話をよこしたトラネコフ君。
彼は一体何を目撃したのだろうか。
向かうべきは孤高の島。
そこには一体どんな謎があるのだろう。
期待に胸を膨らませながら、舟は着々と島に近づいてゆく。
そこには惨劇だけが待っている事も知らずに・・・