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夜勤明けの朝は世界が少しだけ軽くなる
終わった、という事実だけで肩の奥に引っかかっていたものがするりと抜けていく
そのままの足でラーメンに寄る
別に特別うまいわけじゃなくてもいいむしろ、そのくらいがちょうどいい
塩気と油と湯気でぼんやりした頭を撫でられて
「ああ、これでいい」と思う
整えるでもなく満たすでもなく
ただ、沁みる
帰れば子供達は元気に跳ねていて
あれ買ってこれも欲しいと
容赦なく現実を連れてくる
それを受け止める妻の動きは早い
新学期だなんだと必要なものを揃えに出ていく流れ
置いていかれるわけじゃないがついていく余力はない
そこで一度、途切れる
電池が切れたみたいに静かに沈む
目が覚めたときには時間が少しだけズレている
昼でも夜でもないような曖昧な位置に放り出されて
ぼーっとする
何かをするでもなく何もしないでもなく
ただ、戻ってくるのを待つ
腹が減る
あのラーメンとは違う種類のちゃんとした空腹
そこでようやく動く理由ができる
流れで向かうびっくりドンキー
派手な理由はないただ、ちょうどいいから
頼んだハンバーグは案の定、半分持っていかれる
遠慮もなく当たり前みたいな顔で
それを止める気もなくむしろ少し笑ってしまう
残った皿はどこか中途半端で
満たされたとは言い難い
そこでおろしポン酢を単品で頼む
さっきと同じはずなのに少しだけ意味が違う
取り戻すようでいて整え直すような一皿
子供はまた食べてまた欲しがって
その分だけ確実に大きくなっていく
こっちは削られながら帳尻を合わせていく
夜勤明けの解放感から始まって
ラーメンで緩んで眠りで途切れて
ぼーっとしてからハンバーグで戻ってくる
派手さはないがこういう流れが
一番、現実に馴染んでいる
まあいいか、と
思えるくらいには

