鉄道の音に「人間の音」を感じ続けたアーティスト向谷 実さんの新書を読む | 考える道具を考える

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The instrument which I think


考える道具を考える-鉄道の音カシオペアのキーボーディスト向谷 実さんの「鉄道の音」(アスキー新書2009年3月10日刊)を読んだ。

ミュージシャンであり鉄道マニアでも有名な向谷さんの「音の感性」に関する告白本と言っていいかもしれないな‥。

最近の駅は音楽に溢れている。大宮のJR鉄道博物館のD51展示の開発に関わり、九州新幹線の発車メロディを創作した人物による、鉄道と生活音との関係。いわば鉄道の音は、生活の音。そして向谷さんの子供のころから成長していくまでの環境の音との係わりが書かれています。

意識してみれば、鉄道の音は私達の身近な音楽でもありますね。
駅の中だけでなく、遠くに汽笛が聞こえる‥郷愁の音楽でもありました。(アリスの楽曲や古くは萩原朔太郎の夜汽車の詩も鉄道の音が題材だったんでしたね‥)

鉄道に乗れば、線路がきしむ音、車掌の喚呼の声、アナウンス、ガードを通過する音‥たくさんありますね。

そして思います。
私達は、生活雑音の中で暮らしていて、ほとんど自分の意識の中では、音を聞いていないと‥。聞こえてはいるけれど聞いてはいない音に囲まれて生きている。その中で、ある音に注意して聞いてみると、そこには不思議な音楽の世界がある。生活環境は、音楽で溢れていることに気づきます。

そんな「視点」、いいや「音点」を気づかせてくれるマニアックだが温かい一冊でした。