スタジオゲストに脳科学者茂木健一郎さんを迎えて放映されたNHKのクローズアップ現代。
テーマは「コピペ」‥つまりインターネットにアクセスして、そこに掲載されている情報をコピーしてそのままペーストするという行為の本質について論じた番組だ。
大学の論文提出の場面で続出したこの現象だが、ビジネスの世界でも、このブログの世界でも「コピペ」現象は様々なところに出ている。
コピペの現象をどう見るのか‥映像で登場した超整理法の野口悠紀雄先生と、斉藤孝先生の二人のインタビューが対照的で面白かった。
野口先生は、経済学博士なので、自らの論文を書く場合は積極的にインターネットの情報を活用するという。複数の情報を比較検証して自らの仮説を検証していく。いわば、ネットから情報を積極的に獲得していくスタイルを推奨している。勿論、そのままコピーするのではなく、多くの情報を確保して検証するデータとしての情報収集にネットの情報は活用できるという態度だ。
斉藤先生は、その逆で、引用の原典は全て実際の書物にあるという。膨大な情報に迷うことなく、書籍の一つひとつをまさに「三色ボールペン」で線を引きながら丁寧に熟読し、必要なキーワードや文章を書き写していく。ネットの情報とは無縁の世界にいるようだ。体感というような身体性を重視した態度だ。
茂木健一郎先生は、これらの二つの情報検索の態度は、どちらも「脳」を上手に活用した「知的体験」の典型だと解説する。
いずれにしても、単純な「コピペ」が、自分の脳を活躍させる何者でもでもないのは確かだ。それはそうでしょうね。だれかの文章をそのままコピーして、自らの文体の中で昇華させなければ単なる運動で、それは知的活動、考える活動とはいえないものですからね。
私が印象的だったのは、
‥ある程度の苦しみ、生みの苦しみがなければ
脳は喜ばない
というような表現をした茂木先生の言葉だった。
今や、自分の関心のある領域だけでなく、様々なジャンルの情報を簡単に手に取ることができるようになった時代。だからこそ、自分の考え、自分の感性を正しく表現する力を備えることが重要なのでしょう。
‥しっかり、考えましょう、考え抜きましょう。