
ブルーバックスから2007年1月に刊行された『進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線』は、若き脳研究者の池谷裕二さんが、慶応義塾ニューヨーク学院の中高生8人に対して行なった講義録をベースに纏められた分かりやすい著作だ。
今、この本を再読している。
何が、そんなに楽しいのか?
脳のことを脳が解明するプロセス‥あるいは、
記憶とあいまいさと、人間が考えることを考える理由‥‥
または、心と言葉の問題‥‥などに、
私自身が強い関心を持っている‥からかも知れない。
本著の第三章には、「人間はあいまいな記憶しかもてない」というタイトルの講義がある。
人間の記憶が写真のように「そこにある全て」を写し取っているのではない、
という指摘と、「あいまい」であることによって、抽象化する力を持っているために可能とする世界、つまり創造と想像の世界が実現するという流れに、
特に共感しつつ、学習することができます。
講義の流れは、身近なテーマを題材にしながら、
分かりやすい導入部を作っているので、
読み進んでいくうちに、やや本格的な脳の理論を学習することができます。
脳がどのような構造になっているのかではなく、
脳の働きが、「私」をどのように生成し、変化させ、
そして、現在の「私」を認識しているのか‥
そのあたりが少し理解できた気になります。
だから、ゆっくりと、脳が適切に考えることができるスピードで、
何度も読んでいきたいと考えています。