
ブロードウェイミュージカルの映画版「スウィニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師」(ティム・バートン監督)をようやく見ることができた。
デップの迫真の演技とミュージカル挑戦の魅力はどんなものか?
それに、ゴールデングローブ賞を受賞し、なおかつ、アカデミー賞三部門にノミネートされたこの作品の出来栄えは?
ジョニー・デップは、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(2003年)『ネバーランド』(2004年~)に続き通算3度目の主演男優賞にノミネートを果たしたわけですね。
物語は‥美しい妻と可愛い娘に恵まれた理髪師トッド、本名ベンジャミン・バーガーは、街を支配する悪徳判事タービン(アラン・リックマン)の企みで、その幸せを奪い取られる‥‥。時は流れ、15年後。復讐の鬼と化したトッドが、かつての幸福な家庭のあった場所に戻ってくる。しかし、その表情は‥‥。
日本では2007年新春に、宮本亜門さんの演出、市村正親さんと大竹しのぶさんで舞台がありましたね。本場の舞台の初演は、1847年というから、これは本格的なミュージカルなのです。
もともとストーリィは悪と善との対比的描写が主体の単純な物語なのです。美しい青年から復讐の鬼へ転換するデップの鬼の表情が印象的な作品といえるでしょう。鬼は実は美しい。
そうですね。鬼は現実の世界には生きていない。既に、フリート街に戻った時のトッドの眼は、彼岸にあるのだ。だから、悲しそうでもあり、無味乾燥でもあり、時に笑っていさえするようにも見え‥‥その眼の演技こそ、デップの真骨頂と言えそうです。
鬼の演技。そう、これは日本の歌舞伎にも通じる作品でもありと思いました。
物語的な楽しみを期待している人は、少し物足りないかもしれませんが、これは、只ひたすら、デップの視線だけを追っていく作品だと思いましたね。