
「ダライ・ラマが語る般若心経」(角川学芸出版発行 角川書店発売 2006年11月刊)は、仏教の入口で、興味を持っているだけの私にも十分理解できる内容の、力の入った良書である。
私は宗教家ではない。
だから、宗教が集団として伝播していかなければならない理屈が分からない。しかし、日本人にとても馴染んだ般若心経は、何故か好きである。
‥‥
ダライ・ラマ。日本でもお馴染みのチベット仏教の法王である。1989年にはノーベル平和賞を受賞している。そして、十四世を名乗るように、ダライ・ラマは14回にわたって輪廻転生したという。凄い。
著書にはDVDが添付されていて、ダライ・ラマへのインタビューとイメージ映像で構成されている。実際に流暢な英語で語られるラマ自身の言葉には迫力がある。本を読んで理解するのとは違う、説得力があるのですね。
特に、ひかれたのが「空」(シューニャ)についての説法だ。
正直、「空」とは? と問われても、よく分からなかったが、お話の中で少し理解できたように思えた。即ち‥
「形あるものは空であり、空は実に形あるものである。」‥‥色即是空 空即是色 のことか?
つまり、‥‥空は固有の、それそのものだけで存在するものの非存在を意味している。‥‥ということ。
従って、これが意味するものは、事象が互いに依拠して生成(縁起)するということである。
‥まだよく分からない。
でも、事象は独自に存在するものではなく、互いに依存しあって存在するものだという部分は理解できる。完全な独自は、既に独自ではなく、自己は常に他によって存在が確認されるということなのか?
そんな感じですね。もっと深く理解するには、とにかく、般若心経を読み続けることでしょうね。そして、最期の言葉は、「慈愛と自信を持つこと‥」という言葉に、共感したのでした。
そして、収録されているサンスクリット語の般若心経の読経は、聴いているだけで心が洗われるような気分になりました。すごく楽しく、また刺激ある一冊です。