狂気 その時、人間の表情は? | 考える道具を考える

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 タイタス アンドロニカス‥‥写真は、蜷川幸雄演出のシェイクスピア作品でアンドロニカスを演じる吉田剛太郎氏の狂気の表情です。

 ローマ時代の復讐劇。世界のニナガワにとって、吉田剛太郎の存在は欠かせないものとなっていますね。白のイメージで舞台を演出し、鮮血の赤を一条の繊維で表現しています。

 でも、権力を握ったものの狂気の表情には、凄み、迫力、叫びが折り畳まれて共存した人間の断末魔の顔が見えます。

‥‥

 表情に乏しい日本人。能面のような表情に海外の人たちは不気味ささえ感じるようですが、その日本人が演じる英国の古典。

 しかし、人間の狂気の極限の世界を描いたこの表情も、見方によっては般若のようにも見えます。周囲の風景と、静けさと、暗闇の中に浮き立つ般若の狂気の無表情を感じませんか?

 豊かな表現力。日本人の感性にある「静」のうちに潜む「動」の予感。そんな和の感受性がニナガワ演出の中にあると、私は勝手に解釈しているのですが‥。