「ものぐさ精神分析」で話題を集めた心理学者岸田秀先生が、和光大学を退官したらしい。
吉本隆明「共同幻想論」の中の「対幻想」の考え方を割愛して、対自幻想と共同幻想の二つに絞ったことによって、唯幻論を確立したのは有名ですね。
全てを幻想と言い切った痛快さと、幻想は悪くないと言う言い回しに、幻想という言葉がこんなに分かりやすく、簡単なものだったと思わせてくれた理論でした。
個人のアイデンティティの確立のためには、拠って立つ拠点が必要で、その拠点は共同幻想に支えられた概念、すなわち国家とか民族しかないのだというお話が印象的ではありましたが、いつも、幻想を体験したその後、個人がこの幻想をどう扱うのかという視点がないので、只、不安になるばかりではありました。
1つの幻想から醒めて、ふと気がつくと、次の新たな幻想を探している自分に気がついたのでした。
共同幻想は美味で、人間の生きる糧。というような感覚でいた私は、これまでの企業も、地域コミュニティも、家族も、友人も、恋人も皆共通した幻想を求めているという理論に引かれることは事実です。
でも、岸田先生は、これからどこに行くのでしょうね‥。