梅田望夫さんの「ウェブ進化論」(ちくま新書)には、将棋の羽生善治三冠の言葉を引用した部分がある。
最近、羽生三冠の言葉は、いろいろなところに引用されている。将棋の好きな私は、嬉しい限りだ。
「ウェブ進化論」で書かれている羽生三冠の言葉とは、インターネットの普及の現状についての記述の部分だ。羽生三冠は、現在のウェブの状況をこう表現したという。
‥ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています‥
つまり将棋の勉強のために必要な情報は、ネットの中に十分に蓄積されていて、その気になれば実に簡単に学習教材を取得することができる。詰将棋、過去の対戦記録(棋譜という)、さらにはネットでの実践対戦(プロの棋士も参加しているという)などなど。
昔は、学習するのに様々な工夫をしてその教材を手に入れたものだが、今はあっという間に取得できる。それが高速道路という表現になっている。しかし、その先で渋滞とはどういうことか?
要は、誰でもが凄いスピードで「一定程度」までは辿り着ける。先に行った人も高速道路の終点あたりで、その先どこに行くのか迷っていると、次々と新しい人が終点に到着してくる。だから渋滞になるのだそうだ。
が、その先にいくには、「思考の独自性」と「抜け出すための忍耐」が必要なのではないか? それが私の結論。結局、終点にたどりつくというその「終点」こそ、「始まり」なのだということではないか?
自分の仮説を検証するためにウェブは随分便利なものだが、その仮説をつくる問題意識こそ大切だということなんだな‥。きっと。