操船不能@Bosphorus
ボスポラス海峡での船舶事故なのですが、ニュースソースによって微妙にずれがあって、
どこかの通信社で一度間違えるとそれが伝搬してしまう、という困った話にもなりました。
「貨物船が沿岸の建物に衝突、エンジン故障で トルコ・ボスポラス海峡」(AFPBB)
「Ship crashes into waterfront mansion in Istanbul's Bosporus after rudder gets stuck」(Daily Sabah ISTANBUL)
「Video: Bulk carrier crashes into mansion on the Bosphorus」(Seatrade Maritime News)
「Ship crashes into Million Dollar Waterfront Mansion in Istanbul's Bosphorus Caught on Cameras !」(YouTube)
上記動画から切り出した衝突の瞬間(Cartoon For Kids)
事故を起こしたのはマルタ船籍のBulk carrier(ばら積み貨物船)、Vitaspirit(IMO:9231377)、
グロスで38,732t、DWT(載貨重量トン)で74,269t、全長225m、全幅32.26mという大きさで、
記事によってはPanaMax(パナマ運河の全幅32.3m以内)とかJaPanaMax(大島造船所での
パナマックス全長225m)という表現で書いているものもあります。(タンカーではありません。)
FSM bridge from Rumelihisarı (European side) (Nedim Ardoğa/Wikimedia Commons)
対岸の橋脚の下の赤い建物が衝突地点です。
事故を起こした地点はボスポラス海峡(最小幅員は約800m)の中央付近、上に見える
橋はFatih Sultan Mehmet Köprüsü(日本語では第二ボスポラス橋)、IHIや三菱重工業が
建設に携わった橋ですので、そう言われてみれば、という方も多いと思います。
(Google Map) マーカーの位置が衝突地点の Hekimbaşı Salih Efendi Yalısı (公式サイト)
見ての通り、狭いところに航路が輻輳しており、濃霧の時は航行禁止になるなど、
いつ事故が起きてもおかしくないところで、今回の様に大型船が操船不能になると、
大変危険な状況と言えます。(エンジン故障と言うより、舵が効かない、です。)
南側の屈曲部からの航行中に異常が発生しても、停まるまで直進するしかなく、
他の船舶は避けられたとしても、結果的にちょうど橋のあたりで陸地に衝突して
しまったものです。そもそもこのクラスの船舶では、短距離での停止は不可能です。
・・・水路の幅員は船の全長の3倍ほどしか無く、航行は一時全面停止になりました。・・・
良かったこと:人的被害が無かったこと。
良くなかったこと:衝突した建物が歴史的価値の高い18世紀の建物だったこと。
動画にもある様に、隣の建物(レストラン)にはお客さんがいた様なので、紙一重だった
とも言えます。衝突された建物は、結婚式場やコンサート会場として使われていました。
衝突された建物の公式サイトのギャラリーをみると、なかなか素敵な建物だった様なので、
少々残念ではあります。(ニュースの写真と見比べてみると、感じがつかめます。)
Hekimbaşı Salih Efendi Yalısı 公式サイトのギャラリー から。
(もし日本だったら・・・)
日本で言うと、関門海峡(最小幅員は約600m)が似た様な条件になります。
壇ノ浦、巌流島、和布刈、と歴史的資産が多く、海峡を渡る関門橋の下には、
こちらも18世紀の建物である和布刈神社があります。(Google Map)
こちらも交通量が多く、狭いだけでなく流れも速く、事故の起きやすい危険個所でもあり、
自衛隊の護衛艦も事故に遭っています。(橋の東側には日本サルヴェージもあります。)
ちなみにこの2つの橋、もうひとつ共通点があります。日本橋を起点としてヨーロッパまで
約2万Kmをつなぐ「アジアハイウェイ1号線(AH-1)」の一部となっているのです。
(博多港から釜山港までは船で渡り、そこから先はずっと陸路でつながっています。)
# 「Trimaran:三胴船」の記事の船も、自動車は積めませんが、同じ航路になります。
イメージ図(AUSTAL)/現行BEETLE(ぱちょぴ/Wikimedia Commons)
(以上)
@Sarayburnu Manzarası, Istanbul / PLAN Type 054A 江凯II级 frigate
550 潍坊 (Weifang) / 547 临沂 (Linyi) / "海上聯合-2015"(I)中俄海上聯合軍演 (人民網)
Turkish And Chinese Naval Forces Are Doing Reciprocal Port Visits (turkishnavy.net)
JS Kumataka PG-827 / JS Hamana AOE-424
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