レアル・マドリードの眩しすぎる来日をお迎えし、
ありがたい気持ちになったところで、ひとっ飛び。
帰国して、旅するビッグ・クラブの親善試合を観戦しました。
フィジカル、テクニック、イマジネーション、
組織だったバランス、
そして、ビッグ・クラブの一員としてのプライド、
すべてが素晴らしく感じられます。
全力を出してはいなくても、
観客に失礼な手(足?)の抜き方をしてはいません。
トラップなどの基本的な技術、全体の動きが美しく、
無駄がありません。
ロベルト・カルロス選手は、
たまにサービスで無駄にテクニックを披露して、
観客を沸かせておりました。
そんなときも、エルゲラ選手、イエロ選手や
マケレレ選手が後方で、もしものときに備えているのでした。
ロベカルといえば、予定されていた日本でのサッカー教室を
直前になってキャンセルし、急遽代理として駆り出された
加地亮選手の話が印象深く思い出されます。
彼は当時そう知られた選手ではなかったと思いますし、
「ロベカル!ロベカル!」と、
この日を指折り数えて心待ちにしていたであろうこどもたち。
お互い微妙で気まずい状態です。
加地選手はとても真面目で、
サッカー少年たちの落胆する気持ちを察したのでしょう。
「ロベカルじゃなくてごめんな」
皆にそう言ったのだそうです。
彼だって選ばれたJリーガーなのに。
その後、彼はジーコ監督によって見いだされ、
散々代表サポーターに、下手だの、なぜだの言われながら、
日本代表として彼なりに献身的なプレーをこつこつ続けたら…
あれ、いつからかだんだん巧くなっている。
ドイツW杯前のコンフェデレーションズカップ
(六大陸の各代表国が出場します)で、彼は花開きました。
急に別人のように野生の美しい生き物のようにピッチを疾走し、
攻撃的でありながら、守備もきっちりとこなし、
暑い中でそれは運動量豊富に大活躍したのでした。
あの地味な加地選手が、こんなにも華麗なプレーをするなんて。
彼を見いだし使い続けたジーコ監督の偉大さと、
それに応えた選手の強さと地道な努力に頭が下がり、
加地選手、今なら
「ロベカルじゃないけど、僕が来たからサッカーしよう」
って言えるよね、とテレビの前で心打たれてしまいました。
あのとき、内心ロベカルじゃなくて激しくがっかりしたこどもたちも、
「僕、あの選手に教わったんだよ」と誇らしかったことでしょう。
彼が活躍することは、あのときがっかりしたこどもたちを
数年かけて癒すことになった気がします。
ちなみに特別に華麗だったのはそのときだけでした。
フォーメーションと選手の性格の問題かと思われます。
非常に脱線しましたが、
とにかくスポーツの素晴らしいプレーというのは、
ときにまさに芸術であり、
喜びや力や感動を見る人に与えてくれるのでした。
レアル・マドリードドのみなさんは、
家電量販店を貸しきりにしてお買い物も楽しみ、
フィーゴ選手は寿司店を訪れ、
ロベカルは六本木近辺でサンバサンバで盛りあがり、
日本滞在も楽しんでくれたようです。
さあ、では次の訪問先、香港へ。
のはずでした。
成田空港。
スーツケースに力無く座り、
ぼんやりと取材カメラに視線を向ける(スポーツ紙より)、
一人の金髪美青年。ホセ・マリア・グティエレス・エルナンデス選手、
愛称グティ。
さっぱりと略されていますね。
カメラを見ていますが、取材を求めているわけではありません。
たぶん、助けを求めています。
どうして?