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てくてく @ the world

太短い足でてくてくと、たくましくあるいはなさけなくも、世界を渡り歩いた記録です。

それは、


「とある大事なものを現地に持っていってくれたまえ」


という指令でした。


はい、承知いたしました。


が、空港で担当者が運んで来たのは、カート5個分の大きなダンボール。

中国人一家もびっくりですわ~の、そんな量に私が驚かないわけはなし。


しかも、乗り継ぎがあり、初見のアムステルダムのスキポール空港で

税関の手続きをして、そこから巨大空港のどこかの搭乗口へ、という話です。


乗り継ぎ時間もあまり余裕がありません。


はじめて行く空港なので、

ポーターがいるかどうかわかりません


なぜでしょう、いないような気がします。


それでどうやって、この量を税関まで、

そして搭乗口まで運べ、というの?


むしろ、預かってもらえるの?

乗り継ぎ便には全部乗せてもらえるの?


ざっと、シミュレーションした結果、

私の結論は「無理です~」でした。


責任もてません。


「無理です。一体どうやったらいいんですかー?あと一人は必要ですー」

を繰り返す私に、

こんなこと、てくてくさんにしかお願いできませ~ん

(だって、他の人には歓迎されないから。

いや、私も歓迎しておりませんわよ~)」

などと、必死に頼み込む担当者ですが、

なんでこんな無茶な話になっているのだ。


結局、「無理です、無理です」と言いながら、チェック・インし、

「あ、プライオリティ・タグをお願いします」と、

そんなところはちゃっかり忘れないのでした

そこは正規運賃ならYの預け荷物にもつけてくれるのでした


だって、一刻も早く降りなくては。

座席も当然前方です。


もうやるしかない、・・・の?


「個数制限でこれ以上はお預かりできません」

って言ってくれない?


くれない。


あ、そうなんですか。


「すみませ~ん。とにかくどうにかやってくださ~い。

という、申し訳なさそうな担当者の声に見送られ、

悲壮な思いで機中の人となったのでした。


悲壮ながら、機内食はいただきます


今日のチョイスは鶏じゃない、牛よ、牛。より力強く!

もーう。どうしよう。


とりあえず、できることをやっておこう。


書類を読み、内容をよく確認し、到着からの段取り、

税関への説明をあらかじめわかりやすく英語で考え、

まあ、わかりにくい英語を操る語学力はないので、

自然といつもわかりやすいようなのです。

あはは。


とにかく、できる準備をできるだけしてみます。


だが、現実は私の前に立ちはだかる~。


どうやったら、税関や搭乗口まであの量を運べるのだ。


税関に辿り着ければ、相談して、カート一台ずつ運べばいいのか。


それで、間に合うのか。


地上職員の人は、そんなチェック・インを了解してくれるのか。


それら各ポイントの配置はどうなっているのか。


謎が謎を呼び、ブルーになってきたので、

時差調節と万全を尽くすために・・・寝ます。


決して、現実逃避ではありません。

英気を養っているのです。


ぐう。


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だれから切符を頂けたのでしょうか。

前へと向かう旅ははじまります。

それぞれの場所から。

ひとつの空の下で。


さまざまな出来事が起こるでしょう。

良いことも、そうでないことも。


考えたり、迷ったり、突進したり。

流されたり、抵抗したり、突き飛ばされたり。


「もう一度あそこに行ってみようか」

あのときとまったくおなじところには、

再び訪ねることはできないみたい。


助けたり、助けられたり。

傷つけたり、傷ついたり。


誰かを好きになったり。

誰かに好かれたり、好かれなかったり。

なんだか特別な人を見つけたり。

愛を知ったり、知らなかったり。

すれ違ったり、また会ったり。


話せたり、うまく話せなかったり。

伝えたり、伝えられたり、伝わったり。

誤解したり、誤解されたり、わかってもらえたり。


万物に命は宿るというけれど、

たとえばこれを書いているPCは、「生きている」と私は思う。

世界に1台だけの、大切なもの。

たくさんの命がこの旅の友です。

ありがとう。


歩いていく先になにがあるのかはわからない。

そのひとがどのように歩んでゆくか、

そして、出会った人たちと出会うひとたちによって、

いろいろに、できていくでしょう。


舗装された道を行く人もいれば、

泥を人に撒き散らし、沼地へ下っていく人もいます。

荒野を切り開き、その道程にとりどりの花を咲かせる人もいます。

その人の近くを歩く人は、たくさんの美しい花を見ることができます。


前を向いて。

でも、ときどきは、そっと振り返る。

さまざまな思い出と、岐路。


「あのとき」


わずかでも悔いのない人なんていないし、

少しでも失敗したことがない人なんていない。

がんばって笑おう。

両目から、涙のしずくがぽたぽたとこぼれ落ちるときも、笑おう。

でも、思い切り泣こう。

そして、たくさん笑おう。


歩いてきた道と、出会った人たちを胸に、

いまを一歩一歩前へ進む。

人生という名の不思議な旅。

てくてく


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街の人に道を尋ねたらしいゴンザロ(運転手仮名)さん。


再び車を走らせますが、なぜか元の高速道路様に戻り、

道も戻ります。

そして、さっきの街とは全然違う方向に

向かっている気がするのは、なぜ?


なぜって、それはあの街がやはり

家内制手工業テクノタウンではなかったからでした。


似た感じのする違う街へ。

テクノじゃありません。
しばらく街を流して、聞き込み。


どうやらゴンザロさんのタクシーには、

地図が備えられていない模様です。


「だいたいあのあたり?」と目安をつけて車を走らせ、

わからなかったらそのあたりの街で

そのあたりの人に訊くのが、ゴンザロ・スタイル。

これは、アトラクションのライドなのか。


いくつかの同じような街で真面目そうな襟付きの人に訊ねながら、

ゴンザロさんはついにテクノタウンを発見しました。


発見時はなぜか本人もびっくりしているようでした。

私には、何もかもがびっくりです。

所要4時間でございます。

「疲れたから、もういや」と悪役顔に書いてあります。


他の運転手たちが首を振っていたわけもうっすらわかりました。

「そこ知らない」

「土地勘のないところにはなるべく行きたくない」

というわけだった気がします。


遠距離客もいるであろう空港前のタクシーに、

なぜ地図がないのかはわかりません。


コスト的な問題でしょうか。


一冊の地図代と、

その後節約されるガソリン代プラス人件費のバランスは、

割合簡単に予想できるように思えます。


でも、便利や効率、それがなんだ、

なんとなく辿り着ければいいじゃあないか。

そんな意識の問題のように感じます。

実に大雑把です。


シリーズ①で先方が「わからない」と言ったのも、

深く納得がいきました。

確かにこれはわかりません。

とても的確な回答でした。

あはははは。


そして、帰りは道がわかったので

1時間でマニラ市内に入れましたよ。


日は既にとっぷりと暮れています。


ホテルが近付くにつれ、

そわそわと後ろを振り返り始めるゴンザロさん。


だから、前を見て~。


「すごく遠くてたいへんだった」

「そうですね」


でも原因を考えよう。


「だから、もっとチップがほしい」

ゴンザロさんは、悪役顔をして甘えるようにそう言います。


だから、原因を考えよう。

ゴンザロさんが、

なんでか自分で仕事をたいへんにしたんじゃないですか。


「たいへんだったのはあなたのせいだから、払いません。

たいへんだったのはわかるから、

そのことはお疲れさまです。

私も疲れました。たいへんでした」

思ったことをそのまま言います。


体を小さくしながら、哀れっぽくプチ・ゴンザロ劇場開演。

「自分たちは貧しくて…云々」

努めて明るくはっきりと答えます。

「日本も昔はそうでした。

とても努力したんだそうですです。

フィリピンも早く良くなるよう願っています」


「会社がたくさん取って、

自分たちの取り分はちょっとで…云々」

「日本も昔はそうでした。会社との交渉を頑張ってください」


ゴンザロさんはまだ何か言いたそうでしたが、

口を開いただけでやめたようです。


彼ははあまり考えず、

ゴンザロ・スタイルをとっていたのだとは思います。


もし、タクシーに乗ったつもりなのに、

わざとうろうろしてチップを要求するゴンザロ・スキームに

乗せられていたのなら、

私の時間を返してと頼んでいいでしょうか。


あるいは、いつもはあの携帯電話で、

地図を持っている誰かと話しつつ、

「ジャンクション、なう」などと、

生きたナビゲーターを使っていたというならびっくりです。


あるかもしれません。


貧しいのに、あんなに携帯通話しているのは

説得力がないように思います。


あたりはすっかり暗いものの、大きなバス停の近くなどには

小さな灯りが点り、屋台が出て賑わっています。

ただ、通りすがりに感じたところでは、

いろんな人がゆらめいているようでした。


ホテルの横にも幾つか屋台がありましたが、

なんとなく入りたい雰囲気ではありません。


ホテル到着。

お礼はしっかりと、でもチップはなし。

最後はゴンザロさんもちょっとだけ笑顔でした。

ゴンザロさんの家族も、

「今日は遅いな」と気にしていることでしょう。


不思議なドライブでしたが、そんな感じの国です。


テラスで夜風に吹かれ、

冷えたサン・ミゲルをグラスに注いで泡をつくって飲みながら、

ビールは土地のものを土地で飲むのが

いちばんおいしい気がすると、しみじみするマニラの夜でした。


なににだかよくわからないけれどとりあえず、


乾杯。



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どこともしれない街へと車は進んでいきます。


ニッパヤシの繁る街道沿いには、

日本車のディーラーが大きくロゴを出しています。


まあ、豊田さんや本田さん、鈴木さん、

こんなところにもいらしてるんですね。


海外の小さな街で日本メーカーのロゴを見ると、

その頑張りに頭が下がるとともに、

なんとなく安心するのでした。


そう、日本製は安心のしるし。

…偽物じゃないでしょうね。


車窓から見る街は、まったりとしながらも活気があります。


タガログ語の看板が色とりどりに並び、

家族が商うようなお店がたくさんあります。


行き交う人たちの表情が、

心なしか柔らかく見えます。

それは、暑さでゆるんだり、へたったりした柔らかさとは

またちょっと違うもののような気がします。


服装半袖なりにきっちりし、

「アジア名物夏下着姿のおじさん」

は見あたらないようです。


本物と思われる日本車をはじめ、

手入れされた車が走っています。


フィリピンは貧しい国といわれますが、そのようには見えません。


どうも、フィリピンとメキシコが似て思えるのは、

同じくスペインの植民地だったせいでしょうか。


太陽は燦々として、作物はよく実りそう


ここは国が貧しいというより、階級社会で、

一部の層が富を独占しているという、

よくある感心できない構造なのだそうです。

国でなく、システムが貧しいのでは?


そして、

「お金がないのなら、外国で稼いでくればいいじゃない?」

と、メイドさんなどをどんどん輸出してもいます。


メイド界もけっこうシビアなようで、

より待遇の良いところを目指しますから、

この動きでちょっと景気を計ったりもできます。


メイド喫茶のメイドさんのように、

オムライスに可愛い絵を描いてくれたりはせず、

「大らか、これは大らかなのよ」と必死に言い聞かせても、

日本人にとっては「大雑把」まででごまかすのは精一杯というのが、

噂を総合した印象です。


彼女たちは家事や育児で稼いだお金を、

故国に送金するといいます。


労働力を輸出するという外貨獲得法なわけですね。


個人的には

「できるだけたくさんの人が中流の暮らしができる」

というのが、住みやすい国なのではないかと思います。


このあたりは、中流の人たちが暮らす街なのでしょうか。

平和そうです。少なくとも通過する限りは。


わさわさした葉っぱの下で、アイスクリームでも食べたいな。

しかし、のんびりとした可愛い街は

どうにもテクノタウンには思えないな。

ここがテクノタウンだったら、


…フィリピンの奥の深さに立ちすくみながら、

問いかけたいものです。

どのあたりがテクノですのでしょう、って、

家内制手工業deテクノタウンなのかもしかして


そのあたり、どうなのでしょうゴンザロ(運転手仮名)さん。

さっきからきょろきょろしているけどどうしたの?


あ、襟付きシャツの真面目そうな青年を呼び止めました。

どうやら、道を訊いているようです。

青年も悪役顔のゴンザロさんからいきなり声をかけられたのに、

もともと顔見知りでもあったかのようにごく自然に話しています。


なかなか知性ある人のようで、

内容はわからないもののしっかりした喋り方です。

ゴンザロさんは、うんうんと頷いています。


目的地は近いのか。


ふと気づきます。

日本のタクシーにあるあれが、

このマニラのタクシーにはないのでは?


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高速道路様の道を快調に飛ばしながら

ゴンザロさんと誰かの会話は続くよ。


どんどんドスが効いてくる気がするよ。


いつまで、誰と、何を喋っているの、

そしてなぜチラ見してくる。


タガログ語はさっぱりわかりません。


車はだんだん郊外へ。


ゴンザロさんの風貌もあり、

はっきり言って落ち着きません。


そのまま15~20分くらいたったでしょうか。


よし、決めた。


思い切って静かに声を掛けます。


「すみませんが、運転中の通話はやめていただけますか?」

「なんで?」

びっくりしたのか、携帯電話をびったり耳に付けたまま、

こちらを思いきり振り向いてきます。


うわ!

ちゃんと前を見ましょう


そう、フィリピンではたいして問題ではないのかも知れません。

でも、私には問題です。

話している内容がわからないのが、

また問題だという気もするのでした。


さらに静かに、できるだけ重々しく威厳を持って告げてみます。

「それは安全な運転ではありません。

私の国ではそうなんです。

心配なので、やめてもらえませんか」


…沈黙。


しばらくして、ぼそぼそ会話の後、

携帯通話はやめてくれました。


良かった、話の通じる人でした。

英語も通じる人でした。


ちょっと車内の雰囲気は微妙になりましたが

後悔しません。


微妙な雰囲気のまま、車は走ります。


やがて、車は街に出ようとし、

渋滞が生じます。


すると、こどもたち(大雑把に8才くらいから?)が、

車の間を何か商品を掲げながら

歩いて商いをしています。


やる気なさそうに見えますが、

きどき運転手が呼び止めて何かを買っています。


商品はなんだかいまひとつわかりません。

こども商人によって違いもある様子です。


窓を叩いてきたり、必死な感じはないのと、

そこそこに売れているので、

そう気の毒な風でもありません。


とはいえ、学びや遊びの時間が、

商いのために使われています。

日本も昔はそうでした。

可哀想で見ていられないという人もいるでしょう。


塾やお手伝いが商いに変わったようなもの

という見方もあります。


こどもたちは、売れてもとくに喜ぶこともなく、

買い手も「あ、あれ」と思い出したように声を掛け、

お互いにごくあっさりとしています。


でも、離れたところから呼ばれたときのダッシュはすごい。


南国の日常の一つとして、

ただ淡々とこどもたちは働いているのでした。


あの品物はなんなのか聞きたいけれど、

ゴンザロは前を向いて難しい悪役顔をしています。


1種類は煙草のようにも見えました。


移動販売。

便利なのでしょうか。

それとも、もっと深い背景などがあるものなのか。


車はゆっくりと街に入ります。



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