北松本駅近くに、昨年11月にオープンした「純喫茶ピーナッツ」という名の真新しい喫茶店がある。
「コーヒーはブレンドコーヒーをお出ししているのですけど、今、はやっているようなすっきりした味のコーヒーではないんですよ。少し酸味があります。だってそういうものの方が、昔ながらの純喫茶がだすコーヒーという感じがしませんか?」
とにこやかに語るのは、このお店の女性店主であるよっちゃん(愛称)。
コーヒーは注文が入るたびに、豆を挽き、それをハンドドリップで1杯1杯つくっている。コーヒーの薫りが心地よい。
コーヒーはじめ飲み物を注文するとついてくるのは、手作りクッキーとピーナッツ。
学生時代にいた名古屋の純喫茶でこのようなものが必ずコーヒーについてきたので、それを参考にしたらしい。
ちなみにピーナッツという店名は、“一応”このようなサービスにちなんでいるようだ。しかし正確には、ピーナッツという語感のよさからであるようだ。
「ピーナッツていう名前の理由は・・・私双子なんですよ(笑)。っていうことではなくて。私双子じゃありませんしね。
おまけにつけているピーナッツにちなんでいることはありますが、この言葉の感じが個人的に好きなんですよ。
お店を開店する前に周りの人から色々アドバイスをもらいましたが、“純喫茶よしこ(本名)”とか“純喫茶よっちゃん”なんていうアイディアもあったんですよ。それじゃあおかしいですよね(笑)」
■ピーナッツの“純喫茶”メニュー
ピーナッツで出すコーヒーから分かるように、よっちゃんは純喫茶らしさということにこだわりをもちながらお店づくりをしている。それが反映してこのお店のメニューには純喫茶ならではといったものが揃っている。そのいくつかを紹介したい。
「ウィンナーコーヒー」 ¥450
淹れたてコーヒーの上にたっぷりとホイップクリームが浮かんでいる。ウィンナーコーヒーとは、ウィーンのコーヒーという意味であるが、オーストリアのウィーンでウィンナーコーヒーといっても通用しないし、このようなコーヒーがよく飲まれるということもないらしい。日本の喫茶店文化がつくりだした一品である。
ケーキかティラミスと、好みの飲み物がついたセット。
写真のケーキは、ガトーショコラだが、日替わりでかわる。よっちゃんの友人の手作り。
個人的に気に入ったケーキは、マロンロールケーキ。栗がなかにゴロゴロ入っていたことに感動。
ちなみにケーキは「本日のケーキ」として、¥350で単品でも楽しめる。
奥に写っているホットコーヒーは¥420。おかわりすると¥200になり、お得。思わず長居したくなる。
レモンをその場でしぼってくれる。注文に応じてダブル・トリプルもできる。トリプルはかなりすっぱいが、是非チャレンジを。すっぱすぎる場合はガムシロップで調整する。
このレモンスカッシュのファンは多く、今やピーナッツの人気メニューである。
「ナポリタン」 ¥650
純喫茶の定番中の定番メニュー。イタリアのナポリにはない、日本でホテルや洋食屋で広まったメニュー。トマトケチャップがからまったパスタのもっちり感に懐かしさを感じるのは私だけだろうか。
軽食メニューの中で一番の人気メニュー。
なお以下で紹介する軽食には全てミニサラダがつく。
「オムライス」 ¥650
これも日本の洋食屋が考案したもので、喫茶店の定番メニュー。ケチャップで味付けして炒めたチキンライスに、ふんわりとした卵焼きがのっている。そしてその上にはたっぷりとケチャップがかけてある。
これまた子どもの頃に大好きだった懐かしいメニューの一つで、童心に戻りガツガツ思わず食べてしまう。
「カレーライス」 ¥650
ちょっと甘めのカレーで、誰でも食べられ、食べあきがしない味付け。写真のものはひき肉がたくさん入っているが、いつもこのようなカレーという訳ではない。入っている具財はその日によって異なり、注文してからのお楽しみである。
カレー好きということもあり、私個人が一番注文する軽食メニュー。
あと軽食メニューには、「ハンバーグ定食」や「日替わり定食」がある。いずれも¥650。日替わり定食は、ポークソテー定食や煮魚定食など。日によって異なり数量も限定。
軽食メニューは昼11時30分から楽しめることができるが、何時迄という限定がない。それなので食材さえあれば、夕方6時といった遅い時間であっても注文可能。日替わり定食も同様であるので、それを夕食にすることもできる。
「モーニングセット」 ¥300~
ピーナッツでは朝7時~10時30分迄の限定で、モーニングサービスをしている。これはその時間帯でのメニュー。
飲み物を注文するだけで、無料で半トースト・ゆで卵・サラダがついてくるというセットだ。全ての飲み物が対象なので、一番値段が安い¥300のミルクやトマトジュースでもこれだけのものがついてくる。お得感があるセットだ。
「ピザトースト」 ¥350
たまねぎ・きのこ・ハムといった具財がたくさんのっていて、ボリューム感がある。空腹であってもこれだけでお腹がたまるといった感じだ。
このピザトーストで使用しているパンはよっちゃんが自分でつくっている。しっかりと小麦の風味を感じることができ、食べるとふわっとした柔らかさがあるものだ。
ピザトーストのほかにパンメニューはトースト(¥180)、小倉トースト(¥350)、ハニートースト(¥350)といったものがある。
いずれもモーニングサービスメニューであり、これらと一緒に飲み物を注文すると100円割引になる。
ピーナッツのメニューは、純喫茶の定番というものがほとんどであり、これっていう特徴的なものはないし、特におしゃれという感じもしない。またコーヒーも何種類とあるわけではなくブレンドコーヒーだけをメニューにのせている。
しかしそれがいいのである。
定番のメニューとされているものは、いずれも食べあきない、気軽に食べられるものである。またコーヒーが何種類もあっても、結局いつも飲んでいるものは同じではないだろうか。
純喫茶と呼ばれる場所は、まずゆっくりとくつろげる空間でなければならない。それをお客は求めている。
別に食べることだけ、コーヒー等を飲んだり、タバコを吸うことだけを目的としてお客さんがくるわけでないだろう。だからメニューにそれほどこだわる必要はない。
逆にこの定番メニューに親しみとか身近さを感じて好感がもてる。特に気取らずに、これといった理由もなくお店にいける感じがするからだ。
「何気に来たいと思ったときに、気軽に来れる場所にしたい」とよっちゃんが語っていたことを思い出した。そのような気持ちがメニューに反映しているのだろう。
もちろん、彼女一人でお店を切り盛りしなければいけないので、限定したメニューしか出せないという理由もあると思うが。
といっても、よっちゃんはその定番のものを丁寧につくり、お客にできるだけおいしいものを食べてもらおうとしている。カウンターの中の厨房でキビキビと一品一品つくっている姿を見るとそれを感じることができる。
昼、軽食メニューが重なり忙しくなるが、そういう時ぐらい、つくり置きのコーヒーを出せばいいと思うが、そういうことはせず、よっちゃんは、注文されるたびにコーヒーをハンドドリップで一杯一杯つくっている。
■やさしさに包まれたなら♪
前述したように、ピーナッツのメニューは親しみやすさと身近さがある。また前回のブログの中でピーナッツのお店の雰囲気が開放的であるということを書いた。
この“親しみやすさ” “身近さ” “開放的”というのは、私のよっちゃんに対する印象に重なる。
これに付け加えるとしたら、純喫茶にこだわる“がんこさ”ということになるが、よっちゃんをみていると意固地な感じはしない。人に強要したりはせず、そうは思わせない、“さりげないがんこさ”といった方が正しい。
そんなよっちゃんの人柄のためか、ピーナッツに来る客層は幅広い。
よっちゃんの年齢に近い20代後半~30代にかけてのお客が多い感じはするが、それ以外の年齢層のお客も多い。男女を問わず、職種もさまざまな10代~70代にいたるまでのお客がこの店を利用している。そして近くにアパートやマンションがあるため比較的独身者のお客が多い傾向があるようだが、土・日になると子どもづれの夫婦の姿が多く見られる。
お店をたずねるたびに、多くのお客にピーナッツというお店とよっちゃんは、愛されているのだなと感じる。
「よっちゃん、トマト多くできたから食べてよ」とか、「この前話題にした本持ってきたよ」とか言って、何かおみやげをよっちゃんに持ってくる人が多い。訊くと、お店に置いてあるマンガや本などの多くがお客からのモノであるようだ。
もちろん家族からも愛されている。
前回ブログで述べたように、弟のチン太さんはお店のロゴデザインをし、看板の制作もしている。そして妹はお店が忙しい時は手伝いにきているし、お母さんは開店前の早朝に店内の掃除をし、買出しの手助けもしている。それぞれ仕事があるのに、無償でよっちゃんを助けている。
ピーナッツに来る多くが、よっちゃんを応援しようと思う、やさしい気持ちをもった人達なのだろう。
閉店も近い、夜6時頃カウンターでコーヒーを飲みながら、読書をしていた時に、ふと荒井由美がうたった「やさしさに包まれたなら」の曲のイメージが、ピーナッツにはぴったりだと思った。ジブリアニメ「魔女の宅急便」で主題歌にもなったあの歌である。
荒井由美 オリジナルバージョン
http://www.dailymotion.com/video/x557lj_yyyy-yyyyyyyyyyy_music
植村花菜 カバーバージョン
http://www.youtube.com/watch?v=KWPGPBa8GM8
(植村花菜ちゃんが、しっとり情感をこめて歌っています。8mmフィルムを部分的に使用した映像もすばらしいです)
「やさしさに包まれたなら」
作詞 荒井由美
作曲 荒井由美
1) 小さい頃は 神様がいて 不思議に夢を かなえてくれた
やさしい気持ちで 目覚めた朝は 大人になっても 奇蹟は起こるよ
カーテンを開いて 静かな木漏れ陽の
やさしさに包まれたなら きっと
目に写る全てのことは メッセージ
(2) 小さい頃は 神様がいて 毎日愛を 届けてくれた
心の奥に しまい忘れた 大切な箱 開くときは今
雨上がりの庭で くちなしの香りの
やさしさに包まれたなら きっと
目に写る全てのことは メッセージ
カーテンを開いて 静かな木漏れ陽の
やさしさに包まれたなら きっと
目に写る全てのことは メッセージ
漠然とずっと思っていた喫茶店をつくるという夢をかなえるという奇蹟があり、やさしさをもったさまざまな人達がつどい、多くの思い出を残していき、目に写る全てのことはメッセージと感じるようなお店を、今よっちゃんはつくりあげている。
「魔女の宅急便」は、ヒロイン キキちゃんが親元から離れて、さまざまな人達の出会いがあり、その人達のサポートをうけながら一人で宅急便をはじめるという話しである。そんなキキちゃんとよっちゃんの姿がだぶる。
でも、キキちゃんは魔法使いで、ホウキで空を飛べることができるが、よっちゃんの魔法は・・・・と考えながら、カップを唇につけコーヒーを口にふくむと、カウンターの中にいたよっちゃんが、突然「キャー!!」と悲鳴。
びっくりして、コーヒーが口から飛び出しそうになるのをおさえて、周りを見た。しかし店内は私とよっちゃんだけで、見回しても怪しいものはない。それでよっちゃんに「どうしたの?」と訊ねると
「窓から店内をのぞいている人がいると思ったんですよ。でもそれ私の勘違いで、窓に写った私の顔でした」と語り、ニカッとよっちゃん特有の“じゃりんこちえちゃん”のような笑顔を恥ずかしそうに見せた。
その姿を見て、思わず声を出して笑ってしまった。
そう、よっちゃんの魔法は、その笑顔。今日もまた皆の心をやさしくする。
営業:AM7:00~PM7:00
※モーニングサービス実施!
(AM7:00~AM10:30)
定休:木曜日
※駐車場あり
TEL:0263-88-5233
ピーナッツ&よっちゃんBLOGhttp://ameblo.jp/g01dvally/
























