ストレートAの生徒が全敗する理由 | 鉄火のマキ@London イギリス教育事情一番乗り

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ディスレクシア&ADD持ちの無謀なオックスブリッジ受験体験記録。


Straight A's but no university place
http://www.bbc.co.uk/news/education-10665478


A-Level で3科目グレードAというのはオックスブリッジ志願も可能な好成績ですが、そんな優秀な生徒が一浪して再受験してもどの大学からもオファーをもらえなかったという記事。大学入試の厳しさを象徴するような可哀想なケースであるように見えるのですが、よくよく読んでみるとこのデイビッド君側の甘さも見えてきます。これまで経験から、彼が大学受験に完敗した理由について考えてみました。

まずは彼が志望する学部の「英文科」は、他学部と比べて格段に競争率が高い。この高競争率というのはその分、GCSEの成績とか課外活動での活躍とか競争率の少ない学部では問題にされない細かい部分で足切りされる可能性があります。特に得意・不得意科目の凸凹が大きいタイプの男子は、満遍なく何でもできる文系タイプの女子に比べ見劣りすることになります。

それと、まずかったのがデイビッド君が選んだAレベル科目。 Drama and Theatre Studies, Religious Studies, and English Language and Literature とあって一瞬5科目かと思いましたが、これ3科目なんです。Combined Syllabus / Combo Award と呼ばれる科目の内容を薄く広くして1つ分の科目になったものが含まれていて、一流大学で英文学をやりたいのなら、単独のAレベルEnglish Literatureを取得しておくべきでした。

また、科目名に~Studies というのがつくものには、ソフト・サブジェクト として格下扱いされるものが多く取って許されるのは一科目まで。彼の場合、演劇学か宗教学(厳密には宗教学はソフトではないが用途が限られる)をトラディショナルな 歴史・地理・外国語 のいづれかにしていれば違う結果になっていたと思います。

そして最後に大学選びですが、一年目に彼が出願した5つの大学は赤レンガの有名校ばかりと強気。普通、チャレンジ校・実力相応校・滑り止め校 のバランスを考えて志願校を選ぶものです。さらにデイビッド君、2年目にはランクを下げるどころかエジンバラ大 やUCLにも志願して玉砕したのだそうです。エジンバラ大といえばスコットランド人枠が強化されて、南部出身者というだけでバンバン落とされるという事実も知らなかったようですね。

彼は公立出身でしょうが、あまりにも学校側や親のリサーチやサポートが無さ過ぎで情けなくなってしまいました。大切な2年間を棒に振っただけでなく自信や自尊心まで傷つけられたのですから。